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2008年4月29日 (火)

改稿「国語教育を素朴に語る」(40)

20 場面にふさわしい話し方をする〔下〕

 スピーチなどの指導をするときに、あらかじめ原稿を作るようにという指示をすることがあります。話をするには準備が必要だという指導は、当然のことです。
 けれども、どのように準備を整えても、書き言葉としての口調の強い話や、準備が行き届いて言葉が固定してしまっているような印象を与える話は、聞いている人の心を揺り動かさないことがあります。話をしている場面から遊離してしまっていることが原因です。
 一言一言までの原稿を準備して、その原稿に心を引かれてしまうと、話のみずみずしさが損なわれてしまうことになりかねません。話すことには、言葉以外の表情や身振りなども伴っているのに、言葉を優先してしまうからです。
 話すための原稿を推敲することも大切でしょうが、話すことの練習にこそ、準備の重点を移すべきだと思います。原稿を一語一語、頭の中に入れて、それを再現することに意を注げば、話のみずみずしさが失われていくということは誰もが経験していることです。話す人と聞く人の人間関係よりも、話す言葉を優先させてしまうことの弊害だと思います。
 大切なことは、書いた原稿の内容と順序を頭に入れて、あとはその場に臨んだつもりで練習を重ねる方がよいと思います。話は、話す人のペースで進みますから、ゆっくり、はっきりと話して、重要な部分は繰り返したり強調したりして、注意を促すというようなことこそ、話す技術であると思います。
 話した内容が充実していたかどうかということだけで評価をすることは、話すことの正当な評価になっているのだろうかという疑問を、私は強く持っています。

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