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2012年12月 3日 (月)

名寸隅の記(75)

浅井戸としての「どっこいしょ」

 「どっこいしょ」について、別の本、神戸新聞出版センター編の『山陽電車 駅と沿線100年の旅』(2007年8月20日、神戸新聞総合出版センター発行)は、ひとつひとつの駅ごとの紹介が書かれていますが、西江井ヶ島駅の項の中に、次のような文章があります。

 昔は海岸に近い定善寺の門前に「寺水」とか「どっこいしょの井戸」と呼ばれた名水があって、牛車で酒蔵まで水を運んだ記録が残っている。時代が変わって、今はそれぞれの酒蔵の湧水を使っている。

 この文章は、前記「西摂から播磨の名水めぐり」と同趣旨の文章となっています。
 もう一つ、前にも紹介した『いなみ野ため池ミュージアム ため池再発見』(いなみ野ため池ミュージアム推進実行委員会発行)にも「どっこいしょ」のことが書かれています。(同書34ページ)

 昔は「どっこいしょ」といわれる地下水が、いくらでも湧き出してくるところが、赤根川のまわりではあちこちにありました。きれいな水だったので、酒造りに使われたり、また共同洗い場の水としても重宝され、この地域の人たちのかけがえのない憩いの場所ともなっていました。

 この文章に書かれているように、西島のあちこちの家や酒蔵の中に「どっこいしょ」がありました。共同洗い場という使い方は知りませんが、身近な存在であったことは確かです。
 ところで、「どっこいしょ」を『日本方言大辞典』で調べてみますと、奈良県生駒郡に「どっこいしょ」という発音が、山形県東置賜郡に「どんこんしょ」があります。他に「どっこんすい」「どっこんせー」「どっこんせ」などの類似した発音が列挙してあります。けれども、これらの言葉の意味するところは、すべて、掘り抜き井戸です。井戸に関係のある言葉として使われていますが、掘り抜き井戸というのは、「不透水層に達するまで地下を深く掘って、地下水を湧出させる井戸」(『日本国語大辞典』の説明による)のことです。江井ヶ島周辺に見られるような浅井戸のことを指していないのです。

【写真は、江井ヶ島の酒蔵風景。2012年(平成24年)10月9日10時12分撮影。】
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コメント

つい最近このブログにたどり付きました。
江井ヶ島の土着民です。
江井ヶ島に生を受けて、もう、50有余年、

住居は、東の端の「ひがっせ」から西の端の西島に変わりましたが、土着民です
時折懐かしく楽しく読ませていただいてます。

あった!あった!と思いながら
がんばってください。

投稿: JI3HGE | 2012年12月 3日 (月) 20時11分

コメントをありがとうございます。
地元の方に読んでいただいていることに感謝します。
いろんな話題を提供していただければ嬉しく思います。

投稿: たちばな | 2012年12月 3日 (月) 20時21分

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