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2016年12月16日 (金)

奥の細道を読む・歩く(107)

塩竃①

 

 「早朝鹽がまの明神に詣。国守再興せられて、宮柱ふとしく、彩椽きらびやかに、石の階九仭に重り、朝日あけの玉がきをかゝやかす。かゝる道の果塵土の境まで、神霊あらたにましますこそ、吾国の風俗なれと、いと貴けれ。神前に古き宝燈有。かねの戸びらの面に、文治三年和泉三郎寄進と有。五百年来の俤、今目の前にうかびて、そゞろに珍し。渠は勇義忠孝の士也。佳命今に至りてしたはずといふ事なし。誠人能道を勤、義を守べし。名もまた是にしたがふと云り。」

 

 第6回目の「奥の細道」3泊4日の旅は塩竃から始めます。JR東北線の塩釜駅に降りて、北に向かって「鹽がまの明神」鹽竈神社を目指します。塩釜高等学校西キャンパスが道の東の方にあり、坂を下っていくと交差点に出ます。交差点の右手前に佐藤鬼房の句碑があります。神社が鎮座している山が目の前に迫ります。交差点の右向こうに越後屋三井家の建物があります。18世紀中頃の建造の菓子屋ですが、瓦を使って屋根をふいた民家は珍しかったそうで、藩主が巡行するときの休憩所の役割も果たしていたと言います。交差点を右折して東に向かうと、鹽竈海道という標識があります。ここから本塩釜駅に向かって延びている広い道路をそのように呼んでいるのです。

 すぐに神社の表参道のあるところに着きます。「東北鎮護鹽竈神社」という高い石柱があり、鳥居には「陸奥国一宮」と書いてあります。陸奥の国の一の宮である鹽竈神社は、武運長久の神、塩業・漁業の守護神として信仰を集めています。「九仭に重り」と書かれている202段の「石の階」を上りきると、楼門があります。

 芭蕉は早朝に参詣していますが、私たちは午後のお参りですから「朝日あけの玉がきをかゝやかす」という景色ではありません。けれども、十月の青空の強い日射しのもとで、建物などの朱色が鮮やかです。

 楼門をくぐると右宮と左宮が一体となった拝殿があります。向かって左にあるのが右宮で、向かって右にあるのが左宮です。京都の右京・左京と同じように、正殿を背にして右左と言っているのです。そして右手に別宮の拝殿があります。

 「黒守再興せられて」と書いていますが、1200年の歴史を持つこの神社を、伊達政宗が1607(慶長12)に修造しています。芭蕉が訪れるより80年以上前のことですが、現在の社殿は、芭蕉が訪れた後の1695(元禄8年)に工事に着手したものです。

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