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2016年12月18日 (日)

【書籍版】明石日常生活語辞典 (232)    (通算2230回)

日常生活語 「し」⑭

 

しぶ【渋】《形容動詞や(ナ・ノ)、名詞、動詞する》 金品を出すのを惜しんでいる様子。損になることはしまいとする様子。また、そのような人。「しぶ・に・ 頼ん・だ・かて・ 金・は・ 出し・てくれ・へん・やろ。」〔⇒しぶちん【渋ちん】、けち、けちんぼう〕

しぶい【渋い】《形容詞》 ①舌が痺れるような味がある。「しぶい・ お茶・を・ 飲む。」「しぶい・ 柿・を・ 干す。」②地味であるが、落ち着いた味わいがある。「しぶい・ 服・を・ 着・とっ・てや。」③金品を出すのを惜しんでいる。計算高い。「しぶい・さかい・ 金・は・ 出し・てくれ・へん・やろ。」⇒けち、けちけち、けちんぼう、けっちんぼう、せこい、こすい、いじぎたない【意地汚い】

しぶがき【渋柿】《名詞》 渋くて、そのままでは食べられない柿。「しぶがき・や・さかい・ 干し柿・に・ する。」■対語=「あまがき【甘柿】」

しぶき【飛沫】《名詞》 水や液体が風に吹かれたりものに当たったりして、細かく飛び散ったもの。「くしゃみ・を・ し・て・ しぶき・が・ 飛ぶ。」「滝・の・ 水・の・ しぶき」〔⇒みずしぶき【水飛沫】

しぶぞめ【渋染め】《名詞、動詞する》 渋柿から採った茶色の液体で染めること。また、そのようにして染めたもの。「しぶぞめ・の・ 袋・は・ 強い。」

しぶちん【渋ちん】《形容動詞や(ナ・ノ)、名詞、動詞する》 金品を出すのを惜しんでいる様子。損になることはしまいとする様子。また、そのような人。「あいつ・は・ しぶちん・や・さかい・ 寄付・は・ 出さ・ん・やろ。」「しぶちんし・て・ 一円・も・ 出し・てくれ・へん。」〔⇒しぶ【渋】、けち、けちんぼう〕

しぶとい《形容詞》 ①しつこくて頑固である。強情である。「しぶとー・て・ 白状せー・へん。」②我慢をして粘り強い。へこたれず、弱音を吐かない。「しぶとーに・ 頑張っ・たら・ なんとか・ なる・やろ。」〔⇒しびとい〕

じぶん【自分】《名詞》 ①その人自身。「じぶん・で・ 考え・たら・ えー・やろ。」②話をしている人自身。「じぶん・が・ 行っ・てき・ます。」③話をしている人の相手。「じぶん・ 何・ 考え・とる・ねん。」⇒めめ、めんめ(銘々)⇒わし、わい。⇒あんた、おまえ〕

じぶん【時分】《名詞》 話題として取り上げた時を、大まかに指し示す言葉。「明治・の・ じぶん・に・ 建て・られ・た・ 建物」「去年・の・ 今・の・ じぶん」〔⇒ころ【頃】

じぶんかって【自分勝手】《名詞、形容動詞や()》 他人を顧みることなく、自分さえよければよいとして、わがままに行動すること。自分に都合のよいようにすること。利己心が強いこと。「じぶんかってな・ こと・を・ し・とっ・た・さかい・ 人・に・ 嫌わ・れ・た・ん・や。」〔⇒みがって【身勝手】

じぶんとこ【自分所】《名詞》 ①私の自宅。「じぶんとこ・は・ 瓦屋根・の・ 2階建て・や。」②自己自身の側。自己自身に関わる事柄。「野菜・は・ じぶんとこ・で・ 作っ・てます。」

しべ【蘂】《名詞》 稲の穂の芯。「しべ・を・ 束・に・ し・て・ 箒・を・ 作る。」〔⇒すべ()

じべた【地べた】《名詞》 ①土地の表面。土の上。「しべた・に・ 座りこん・だら・ あき・まへ・ん・やろ。」②布団や畳などが敷かれているところから外れた場所。下にものを敷かないで、そこから外れたところ。「布団・から・ 出・ても・て・ じべた・で・ 寝・とっ・た。」〔⇒あだべた。⇒じめん【地面】

しほう〔しほー〕【四方】《名詞》 ①東・西・南・北の4つの方角。「しほー・に・ 柱・を・ 立てる。」②あたり一帯。周りのすべての方角。「しほー・から・ 見物する・ 人・が・ 集まっ・てくる。」⇒しほうはっぽう【四方八方】、はっぽう【八方】

しぼう〔しぼー〕【死亡】《名詞、動詞する》 人の息が絶えること。人の命がなくなること。「しぼー・の・ 届け・を・ 出す。」動詞⇒しぬ【死ぬ】

しほうだい〔しほーだい〕【仕放題】《形容動詞や()、動詞する》 自分の意思に従って思いのままにする様子。行動に抑制がかからない様子。「自分・の・ 思っ・た・ままに・ しほーだいし・とる。」〔⇒したいほうだい【仕たい放題】

しほうはっぽう〔しほーはっぽー〕【四方八方】《名詞》 あたり一帯。周りのすべての方角。「しほーはっぽー・ 探し回る。」◆「しほう【四方】」よりも意味は強まる。〔⇒しほう【四方】、はっぽう【八方】

しぼむ【萎む】《動詞・マ行五段活用》 ①ふくらんでいたものが、小さくなって縮む。大きかったり生き生きしたりしていたものが、小さくなって縮む。ぺしゃんこになる。「自転車・の・ タイヤ・の・ 空気・が・ 抜け・て・ しぼん・だ。」②開いていた花が、水分を失って閉じたり小さくなったりする。「花瓶・の・ 花・が・ しぼん・でき・た。」③ものの一方が、他の部分よりも、狭く小さくなる。「歩い・とっ・た・ 道・が・ だんだん・ しぼん・でいっ・た。」■他動詞は「しぼめる【萎める、(窄める)】」〔⇒すぼむ(萎む)、しゅぼむ(萎む)⇒へこむ【凹む】、へっこむ【凹っ込む】⇒しおれる【萎れる】、ひしぼる【干しぼる】、へしぼる(干しぼる)

しぼめる(窄める)】《動詞・マ行下一段活用》 開いていたり、ふくらんでいたりしたものを狭く小さくする。「口・を・ しぼめ・て・ 口笛・を・ 鳴らす。」■自動詞は「しぼむ【萎む、(窄む)】」〔⇒すぼめる【窄める】、しゅぼめる(窄める)

しぼり【絞り】《名詞》 布のところどころを糸でくくり、染め残した部分が模様になるようにしたもの。また、そのような染め方。「しぼり・の・ 浴衣・を・ 着る。」〔⇒しぼりぞめ【絞り染め】

しぼりぞめ【絞り染め】《名詞》 布のところどころを糸でくくり、染め残した部分が模様になるようにしたもの。また、そのような染め方。「しぼりぞめ・の・ 手拭い」〔⇒しぼり【絞り】

しぼる【絞る、搾る】《動詞・ラ行五段活用》 ①強くねじったり押さえつけたりして、それに含まれている水気や液体を出させる。「バケツ・で・ 雑巾・を・ しぼる。」「牛・の・ 乳・を・ しぼる。」②無理に取り立てる。「税金・を・ しぼっ・て・ 取ら・れる。」③厳しく鍛える。その能力を最大限に発揮させようとする。「野球部・で・ 一日中・ しぼら・れる。」■名詞化=しぼり【絞り】

しま【縞】《名詞》 染め糸を使って縦糸と横糸を織り出して、筋になっている織物の模様。「縦じま・の・ 模様・の・ ユニホーム」

しま【島】《名詞》 周りを水で囲まれた、比較的小さな陸地。「家島・の・ 横・に・ ある・ しま」「しま・に・ なっ・て・ 残る。」

しま【島】《固有名詞》 地名の「えいがしま【江井ヶ島】」を指す言葉。

■江井ヶ島の地名を大別すると「〇江井」と「〇島」とがあり、それに「東」「西」が付きます。東から順に、東江井、西江井、東島、西島です。東江井は日常的には東江と言い、西江井も西江と言っています。普段の発音では東江が「ひがっせ」、西江が「にっせ」となることがあります。

 江井ヶ島の地名の由来は、上記のこととは別に、魚のエイと結びつけた話などが流布しています。江井ヶ島海水浴場の傍に「江井島」を説明した石碑が建っています。そこに彫られている文章は次のようになっています。( )内はルビです。

 

 むかし、江井島一帯は「嶋(しま)」と呼ばれていました。この「嶋」に港をつくった行基(ぎょうき)というお坊さんが、海上安全の祈とうをしている時、港の中にタタミ二枚ほどもある大きな「エイ」が入ってきました。村びとたちは、気味悪がってエイを追い払おうとしましたが、いっこうに去ろうとしません。行基がエイに酒を飲ませてやると、エイは、満足そうに沖へ帰っていきました。このことがあってから、だれいうとなく、「エイが向ってくる嶋-?向島(えいがしま)」と呼ばれるようになったということです。

 また、江井島一帯はむかしから「西灘(にしなだ)の寺水」と呼ばれる良い水の出るところとして知られています。そこで、「ええ水が出る井戸のある嶋」がつまって「江井島」になったともいわれています。

 

 江井ヶ島のことを「島」と呼ぶ言い方は、現在にも残っています。江井ヶ島の海岸でエイが釣れた経験はありますから、「エイが向ってくる嶋=?向島(えいがしま)」という説は突飛ではないかもしれませんが、「行基がエイに酒を飲ませてやると、エイは、満足そうに沖へ帰っていきました」というのはおとぎ話のように聞こえないでもありません。ただし、東島の古刹・長楽寺に残る「長楽寺縁起」にこの話が書かれているようです。

 上記の話が長楽寺の創基の時期のものとすると、「播磨風土記」などが書かれた時代と大きく異なりません。風土記の地名伝承は、現代から見ると信憑性に乏しいような話もありますが、昔の人たちのものの考え方や感性に基づいて考えられたものであるとすると、一笑に付すようなことをしなくてもよいのではないかと思います。

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