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2017年1月31日 (火)

奥の細道を読む・歩く(153)

大石田③

 

 県道30号に出て、北に進むと、西光寺に行き着きます。大きな門には左右に真っ赤な仁王像があります。細かさに欠ける像ですが、これは1868(慶應4年)に町の船大工たちが刻みあげたものだと言います。

 本堂から裏手に回っていくと、3つの石碑に屋根がかけられています。真ん中が「さみだれをあつめてすゞしもがみ川」の芭蕉句碑です。これは、1769(明和6年)に建てられた句碑の副碑として1975(昭和50)に作られたものですから、新しいものです。

 本堂の近くに小さな芭蕉像があります。目深に頭巾を被って、ちょっと首を傾げて何かを見つめている姿です。屋外に設置されているものとしては、これまで見てきた芭蕉像の中でも最小のものです。

 句碑の建立場所については、ちょっと疑問になることがあります。東北地方にとっては芭蕉と「奥の細道」は観光資源としては恰好のものですから、あちらこちらに芭蕉像や芭蕉句碑があります。同一の句の碑が複数作られたりもしています。また、曾良もずいぶん優遇されて碑が作られています。それに異を唱えるつもりはありません。

 けれども、「五月雨をあつめて早し最上川」の句碑は、芭蕉の足跡を追って旅をしている私たちにとっては、「奥の細道」の文章の流れに沿って、大石田や本合海よりもっと下流の地域に建立してある方が嬉しいと思います。大石田で「あつめてすゞし」の句形が作られていたとしても、です。

 最上河畔へ来たときとは別の道を通って大石田駅に戻ります。途中に「かおり風景100選 大石田そば街道」という看板が目に入ります。これは2001(平成13)に環境省が選定したものです。大石田は古くからそばの栽培が盛んでした。そばの花には強い香りはありませんが、石臼等でひいて粉にするときに独特の香りを発するようになります。大石田はさほど広い町ではなく、人口も7500人ほどですが、町内に十数軒の手打ちそばの店があるようです。

 なお「かおり風景100選」に選ばれている風景で「奥の細道」に関係ある場所のものとしては、草加せんべい醤油の香り、須賀川牡丹園の牡丹焚き火、那須八幡のツツジ、羽黒山南谷の蘇苔と杉並木などがあります。

 大石田からは山形新幹線で帰途につきます。昨日・今日と歩き続けて、日山温泉(赤倉温泉駅近く)から大石田駅までは、交通機関を使うことなく、自分の足でたどり着きました。鉄道を使って一部区間を短絡することも組み込みますが、長い区間を続けざまに歩くと旅の成就感はいっそう強くなります。

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