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2017年9月 1日 (金)

奥の細道を読む・歩く(198)

高田の町を歩く

 

 かつての幹線であった鉄道が、新幹線の開通によって第三セクターになっていますが、旧・信越本線を直江津駅から高田駅に向かいます。

 高田といえば、私の頭の中には豪雪の町というイメージができてしまっています。小学校時代か中学校時代かは定かではありませんが、教科書に日本一の積雪ということが書かれていました。そして、家の軒先を出してその下を通路にした雁木のことも知りました。

 調べてみると、1945(昭和20)の終戦の年、その2月26日の積雪量が3メートル77センチであったという記録が残っているようです。雁木は私有地を提供した雪国の生活の知恵で、高田の雁木は総延長が16キロの長さで全国一だそうです。それとともに高田はわが国のスキー発祥の地としても知られています。

 高田は信越線の列車で通ったことが何度かありますが、そのようなイメージのまま車窓を眺めていたように思います。もっとも、芭蕉が旅したのは秋の初めであり、私たちの今回の旅は晩春です。

 左右に櫓のようなものが作られて独特の形をしている高田駅に着いて、駅前のホテルにチェックインして荷物を置き、そのまま市内を歩きます。東に向かって北城神明宮を目指します。そこに芭蕉句碑があるからです。

 商店街を歩いて儀明川を渡り、続いて青田川を渡ります。青田川は細い流れですが一級河川で、川沿いに散策の道が延びています。

 高田城の外堀沿いへ進むと、高田藩時代からの知られていたという二本公孫樹があります。このあたりは上越教育大学の付属校などの校地になっています。そして、外堀が終わったところをさらに進むと北城神明宮に着きます。

 ここにある芭蕉句碑は、「薬欄にいづれの花をくさ枕」と「文月や六日も常の夜には似ず」の二つの句が並べて刻まれています。直江津にあったものと同じ句が刻まれているのですが、「奥の細道」に記されている句とそうでない句とを並べてひとつの碑面にしているのは独特のやり方です。高田ではやはり「薬欄にいづれの花をくさ枕」を重んじたいのでしょう。

 引き返して駅前に向かいますが、帰路は高田城址に作られた高田公園の中を通ります。高田城はわずか4か月で完成させたそうで、石垣を築かず天守閣も作られていません。城址には威圧感がなくて、ゆったりとした風情です。ここは桜の名所ですが、今はその季節を過ぎています。しだいに夕闇が迫ってくる時刻になり、高田城の三重櫓を仰ぎ見て通り過ぎます。高田で生まれた小林古径の記念塔、小川未明の文学碑などが並んでいるところを過ぎ、いくつもの彫刻が並んでいるブロンズプロムナードを通って、駅前に向かいます。高田は雪に苦しむ町ではなく、文学・芸術にゆかりが深いことを認識します。

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