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2017年9月 5日 (火)

奥の細道を読む・歩く(202)

交通路優先の親不知のあたり

 

 親不知もかつて、歩いたことがあります。親不知駅を降りて、西に向かって歩いたのはもう半世紀も前のことです。どれぐらいの距離を歩いたのか定かではありませんが、道路から海岸べりまで下りていって、しばらく過ごしてから親不知駅へ引き返したことを憶えています。いかにも静かな海岸であるように思いました。

 その後、北陸線を往来したことは何度かありますが、トンネルに潜って親不知駅の前後を通り過ぎるようになったのは寂しいことでした。北陸線の古い線路を知っているからこその感傷なのでしょうが、便利さと旅情とは相反するものになっています。加えて高速道路の建設は、古いものを瞬く間に壊してしまったようです。

 今回は、親不知駅から市振駅までを歩きます。大型の車が傍を走り抜ける危険を覚悟しながら歩きます。

 まず、駅の少し東の方にある水上勉の文学碑に立ち寄ります。「……美しい親不知の海にいま身を果てて死ぬるより生きようとおしんは思うた。」という『越後つついし親不知』の一節が刻まれています。今日は快晴、海は穏やかで、日本海に身を投げるような風情はまったくありません。北陸自動車道が頭上に架かり、なんとも現代的な景色が海岸を痛めつけているように感じます。

 鉄道線路に沿った道を西に向かいます。親不知ピアパークという施設を横目に見て、歩きます。高速道路の料金所があったりして、芭蕉が見たら卒倒するに違いない風景です。高速道路の橋脚が海上に出たかと思うと頭上を越えて山の中へのトンネルが始まったりします。ゆっくり歩いていても、景色が次々と変化します。鉄道にもいくつものトンネルが断続します。

 このあたりは糸魚川ジオパークの一部になっているのですが、自然よりも、人事(交通路)の方が優先されているのです。

 今、歩いているのは国道8号です。幹線道路になっていますから、大型トラックなどの交通量は相当なものです。そうこうしているうちに道路にもトンネルが始まります。トンネルとはいえ、真っ暗ではありません。洞門と言うべきかもしれませんが、日本海側は柱が林立しているというか、窓が開けられているというか、ともかく光が射し込んでいるのです。懐中電灯を振りながら歩きますが、傍を車が走り抜けていきます。大竹沢というトンネル(洞門)を抜けると、天険断崖などが展望できるところに着きます。

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