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2017年9月23日 (土)

奥の細道を読む・歩く(220)

県境の倶利伽羅

 

 不動の茶屋についての説明板があって、十返舎一九の「商ひに利生ぞあらん倶利伽羅の不動の前の茶屋の賑はい」という歌が紹介されています。これは小矢部市が立てた説明板です。たどっているのは旧北陸道で、鉄道が開通するまでは人の行き来で賑わった街道筋であったはずです。

 すぐ近くに倶利伽羅公園という広場があって、そこには倶利伽羅峠一帯に桜の苗木を19年にわたって7千本も植え続けたという高木勝己翁の胸像があります。翁は富山県大島町に在住したありますが、それは今の高岡市のあたりだろうと思います。昭和の花咲か爺さんと呼ばれたと書いてあります。その意思を継いだ人たちによって桜は守られているようです。

 ところでこの倶利伽羅公園には津幡町と書いてあります。このあたりが富山県と石川県の境界です。

 倶利伽羅不動寺に通じる道路の両脇に八重桜並木が続いていますが、寺の所在地は石川県河北郡津幡町倶利伽羅です。倶利伽羅の地名は両県にまたがっているようです。倶利伽羅とはインドのサンスクリット語で、福徳円満の黒い龍を意味するそうです。

 倶利伽羅不動寺は奈良時代初期、養老年間の創建で、日本三不動のひとつだと言います。境内には開運不動剣という大きな剣が、高さ15メートルほどもあって、空を刺すように作られています。夕刻に近い時刻の、静かな境内でひとときを過ごします。境内には茶店もあるのですが店終いの様子で、伽藍を含めてあたり全体が一日の終わりを告げているような雰囲気に包まれています。

 ここからは駅に向かってゆっくり坂を下ります。熊出没の警告板がこんなところにもあります。道は広いのですが人には出会いません。やがて水田が見え、人家が見え始めます。寺から1時間ほどで駅に着きます。駅の玄関には赤い丸形ポストが立っています。

 倶利伽羅駅は、あいの風とやま鉄道とIRいしかわ鉄道の境界駅です。北陸新幹線の開通に伴って、旧北陸本線を第三セクターに転換しましたが、その際、駅の大小ではなく、県境を目安に分割しましたから、ここが境界になりました。倶利伽羅駅は明治41(1908)2月開業の古い駅ですが、駅前は寂しい感じが漂っています。駅舎にはIRのマークが付いていますから、いしかわ鉄道の管理のようです。発着する電車に似つかわしくないほど、ホームの長さだけは旧・本線の貫禄を示しています。

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