« 奥の細道を読む・歩く(226) | トップページ | 奥の細道を読む・歩く(228) »

2018年1月11日 (木)

奥の細道を読む・歩く(227)

願念寺の一笑塚

 

 観光客が多く集まっている妙立寺は、数々の仕掛けが施されていて、忍者寺として親しまれていますが、その横を通り抜けて、芭蕉と一笑ゆかりの願念寺へ向かいます。

 願念寺は蕉門の俳人・一笑の菩提寺です。門前に「芭蕉翁来訪地・小杉一笑墓所」とあって「塚も動け我泣く声は秋の風」の芭蕉句が刻まれています。

 一笑は、金沢の蕉風の先駆としての役割を果たした人で、400句近い遺作が伝えられています。芭蕉が訪れる前年の冬に36歳で早世し、金沢に来てそれを知った芭蕉は慟哭したようです。その追善のために詠んだのが「塚も動け我泣く声は秋の風」です。

 あなたを悼んで泣く私の声は、もの寂しい秋の風とともにあなたに呼びかける、塚よ、この声に応じて動いてほしい、という意味です。無念さがにじむ句です。

 境内に一笑塚があります。一笑の辞世の句「心から雪うつくしや西の雲」が刻まれ、大きく「一笑塚」と書いてあります。

 芭蕉は「奥の細道」の旅に際して、各地の門人達と予め連絡をとっていたと思われますが、一笑の死は、知らなかったのでしょうか。当時の通信手段を考えれば、知らなくても不思議ではありませんが、たとえ知っていたとしても落胆の気持ちは大きく、「一笑と云ものは、此道にすける名の、ほのぼの聞えて、世に知人も侍しに、去年の冬早世したりとて、其兄追善を催すに、」という文章になったのでしょう。追善供養は芭蕉来訪によって突然に企画されたものではないでしょう。

|

« 奥の細道を読む・歩く(226) | トップページ | 奥の細道を読む・歩く(228) »