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2018年1月14日 (日)

奥の細道を読む・歩く(230)

小松を歩く

 

 金沢から30分ほど列車に乗って、小松に着きます。小松には、勧進帳の舞台である安宅の関がありますから、ここは歌舞伎の町です。隈取りの絵などもあって、駅前にはそんな雰囲気が漂います。イメージキャラクターは「カブッキー」です。

 駅から真っ直ぐ西(海側)に向かいます。真行寺などの寺が並んでいます。

 寺町通りを北に向かってたどっていくと、左手に建聖寺があります。室町時代後期に能美郡寺井の地に創建され、1640(寛永17)に現在地に移ったと言います。この寺には、加賀藩3代藩主の前田利常の子・亀松が5歳で早逝したのを悼んで乳母・侍女たちが追善のため寄進した仏涅槃図があって、小松市指定の文化財になっています。

 広くはないお寺ですが、門前に「はせを留杖の地」という碑が建っており、門を入ると右手に芭蕉の碑があります。「蕉翁」と刻んだ石碑があり、その右側に小さな句碑があります。「しをらしき名や小松吹く萩薄」の句です。

 小松というのは何と控えめでいじらしい名前であるのだろう、風はこの地の小さな松の木の上を吹き、萩や薄をなびかせている、と詠んでいます。

 建聖寺の住職は留守とのことですが、奥様に招き入れられます。所蔵されている芭蕉木像のことを話題にしたら、拝見できることになりました。厨子の中から取り出されたのは、芭蕉の門人・立花北枝が作った像です。

 北枝は、金沢から松岡までの16日間ほど、体調のすぐれない曾良に代わって同行しています。のちに芭蕉十哲のひとりに数えられています。

 建聖寺を出て北に進むと、広い道路のそばに、すわまえ芭蕉公園というのが設けられています。芭蕉句碑「ぬれて行や人もをかしき雨の萩」があります。雨にぬれる萩は趣深く、これを見ながらやはりぬれていく人の姿もまた風情がある、という意味です。

 歓生に招かれて句会を開きましたが、この句は歓生宅の庭をたたえた挨拶の句でしょう。これを立句に五十韻が巻かれています。句会に同席した小松の俳人達が詠んだ五十韻を刻んだ句碑が作られています。活字体の日です。句会は1689(元禄2年)7月26日のことです。

 広い道路を横断すると、そこが菟橋神社で、ここにも「しをらしき名や小松吹く萩薄」の句碑があります。

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