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2018年1月27日 (土)

奥の細道を読む・歩く(243)

延命の効能ある山中温泉

 

 白山は開山1300年になりますが、山中温泉も開湯1300年だそうです。山中は神戸の有馬温泉に次ぐ効能だと書いていますが、それは句にも響いているのです。

 「山中や菊はたをらぬ湯の匂」と言いますが、芭蕉が訪れたときは、菊の季節には少し早いようです。けれども、ここでは菊を詠み込みたかったのでしょう。

 山中は固有名詞には違いないのですが、菊の咲く山道を連想させています。菊は匂いも良く、延命の効果があると昔から言われていて、それに因んだ行事も広く行われています。菊を手折って延命を祈るというのは自然な行為なのですが、山中温泉は湯の効果が大きいので、菊を手折る必要もないという意味になっています。

 私たちは栢野から引き返して、バスで上ってきた道を離れて、大聖寺川を平岩橋を渡って反対側の道をたどります。平岩橋の名が書かれているところが、芭蕉の「かがり火に河鹿や波の下むせび」の句碑にもなっています。細い川が深い谷を作っています。

 大名書院造りの無限庵の庭園の傍を通って、こおろぎ橋へ行きます。ここは元禄時代より前から架かっている橋だそうで、総桧造りの橋は温泉客が必ずと言ってほど訪れる景勝地です。橋を渡った向こう側には、先ほどと同じ「かがり火に河鹿や波の下むせび」の句碑があります。川へ下りていく道があって、下から眺める木の橋も風雅なものです。

 いったん上がって、建物の間の道を歩きますが、しばらく行くと、鶴仙渓遊歩道というのが始まって、川の流れの傍をたどる道になります。中国風に采石巌と名付けられたところもあり、観光客向けの川床が設けられているところもあります。

 現代的な捻れた鉄骨の橋「あやとり橋」があるので、上っていってその橋を渡って、対岸に出ます。このあたりの川が道明が淵と呼ばれているところです。

 橋を渡ると、山中温泉の中心街という雰囲気になって、「芭蕉の館」があります。館の前に、芭蕉と曾良の別れの像があります。芭蕉は両腕を拡げてどんと構えて座っています。曾良は頭を下げて両手を揃えて、別れの言葉を述べているような風情です。全体が真っ白い石の像ですが、曾良の方に重量感を感じます。館内の展示室をひととおり拝見します。

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