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2018年3月14日 (水)

奥の細道を読む・歩く(289)

最上川芭蕉ライン

 

 最上川下りの船の出発です。最上川は急流ですから、私は川下りを、京都の保津川下りになぞらえて想像していましたが、まったく異なりました。船頭さんが棹を操るような舟ではなく、エンジンが付いている舟でした。船頭さんはのんびりとマイクで案内をするだけでした。保津川下りの舟は、囲いもなくて水と戯れて下る風情ですが、こちらは覆いが作られていて、ビニールハウスの中から川をわずかにのぞき見るという様子です。

 左右も前方もビニールで覆われています。そのビニールハウスの下の方を捲りあげて外を見ることはできますが、視界広くはありません。私は右舷に座りましたが、左舷側を見ようとしてもビニールハウスに遮られています。

 右舷に座ったものにとっては、僅かに川の右岸を盗み見るような状態で舟が進んで行きます。川は僅かに波立っていて、川岸に白い鳥が浮かんでいます。左岸に神代杉があるという説明があっても、仰ぎ見ることはできません。しばらく行くと、右岸に水上コンビニがあるということで、そこでしばらく停船します。商魂がたくましく感じられて、芭蕉の旅の風情は失せてしまっています。

 駒形の滝、七滝、大滝が右岸に続きますから、それらを見ることはできます。かなり高いところから細い水の流れがありますが、豪快な感じはしません。最上川は山間を流れていますが「左右山覆ひ、茂みの中に船を下す」というようには感じません。

 芭蕉の乗った舟はこの観光舟よりもだいぶ小さかったのでしょうか。しばらく水の流れの速いところも通りますが、「水みなぎつて、舟あやふし」という経験はしないで終わりそうです。下流から上流に向かって、速いスピードで回送されていく舟と何度も出会うのも風情のぶちこわしです。

 そうこうしているうちに、「白糸の瀧は、青葉の隙々に落て、仙人堂岸に臨で立」と表現されているところに出会います。仙人堂には赤い鳥居が見えます。白糸の滝は山の中腹から水の流れが見えて、いったん左に折れてから下に落ちて流れています。

 あっと言う間の1時間弱 日本3急流というイメージはどこへやら、「五月雨をあつめて早し最上川」というのとはずいぶん異なる舟旅でした。五月雨の頃であれば、もっと違った印象であっただろうと、自分の頭の中で想像をかき立てることにしましょう。

 最上川リバーポートというところで舟をおります。白糸の滝が見えていますから、しばらく対岸の滝を眺めます。ここからは、すっかり雨の上がった国道47号を歩いてJR高屋駅へ向かいます。

 陸羽西線の運転時間の間隔は、びっくりするほど長いところがあります。高屋駅では1時間30分ほどの時間を、辺りを歩いたり、ぼんやり佇んだりして過ごしました。慌ただしい生活の中では、珍しい時間の過ごし方であり、貴重な体験でした。

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