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2018年4月23日 (月)

言葉の移りゆき(6)

「虎仕様」の国語辞典

 

 国語辞典に特別仕様の版が発売されたというニュースを見ました。その後、実際に書店の店頭でその国語辞典を目にしました。

 

 新学期に「虎辞書」はいかが-。三省堂(東京都)が、「阪神タイガース仕様」の国語辞典を発売した。ケースなどの装丁はもちろん、本文にもファンをくすぐる仕掛けがちりばめられている。 …(中略)

 ベースは「三省堂国語辞典」。ケースは虎のマークにタテジマ、帯にはタイガースの歌「六甲おろし」を、辞書の表見返しには阪神甲子園球場の写真を掲載した。表紙も黄色地に黒のタイガースカラーでコーディネートした。

 辞書の中身も注目だ。「ローマ字のつづり方」のページには、Hansin(阪神)ganbare(がんばれ)  Rokko(六甲) nekketu(熱血)などの添え書きが。「阪神」の項目の用例には、赤文字で「-タイガース、フレフレフレ!」。「-工業地帯」とある普通版とは大違いだ。

 他にも2カ所、オリジナル用例があるが、どこにあるかは「秘密。宝探しの感覚で楽しんで」と三省堂の担当者。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年3月2日・朝刊、神戸版、13版△、27ページ、石田貴子)

 

 確かに注目を集めるような作り方になっています。中身よりは外観で売ろうとしているようですが、本当の「阪神タイガース仕様」のためには、語の説明や用例に工夫をしなければならないでしょう。オリジナル用例は、「阪神」の項目以外に2カ所だけで、全ページの中から探せと言うのは無理な注文でしょう。

 私の手元にある『三省堂国語辞典』は第3版と第5版で、特別仕様は第7版です。特別仕様と言うのなら、語の説明にも特異性を出してほしいと思います。第5版との比較で言うならば、例えば、次のような説明も必要だろうと思います。

 「阪神」……大阪と神戸を結ぶ私鉄の社名。「-の特急に乗る。」

       甲子園球場を本拠とするプロ野球の球団名。「-が連勝した。」

 「虎」……プロ野球の阪神タイガースの愛称。「今年の-は強い。」

 「縦じま」……「タイガースの、-のユニホーム」(用例)

 「仕様」……「この辞書は阪神タイガース-だ。」(用例)

 「おろし」……「六甲-を歌う。」(用例)

また、見出し語になっていない語も、この際、加えてはどうでしょうか。

 「タイガース」……プロ野球の阪神球団の愛称。

 「甲子園」……①阪神甲子園球場のある、兵庫県西宮市の地名。

        ②若者を対象にしたスポーツや文化行事の名称として用いられる言葉。

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