« 言葉の移りゆき(3) | トップページ | 言葉の移りゆき(5) »

2018年4月21日 (土)

言葉の移りゆき(4)

「直撃」は迷惑だ

 

 若者の本離れに危機感を持って、國學院大学が100余人の著名な方に原稿を依頼して、『みちのきち 私の一冊』という本を作って、学生に配付すると言います。

 文字数の少ない人から順に並べ、最初は大きな文字で、後ろに進むほど文字が小さくなるという仕掛けになっているそうです。大学生に対してそんな配慮をしなければならないということを聞くと、何とも寂しい気持ちになります。

 さて、この本を作ったときのことが紹介されている記事の中に、次のような表現があります。

 

 本づくりの中心となったのは、国学院大の2030代の職員だ。経理や人事など課をまたいで集まった11人が、「それぞれの会いたい人を中心に直撃で声をかけた」。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年3月13日・夕刊、3版、11ページ、土居新平)

 

 テレビや週刊誌などでは、取材で「直撃」するという言葉が用いられています。予め申し込んだり、丁寧に対応したりすることなく、突然のようにカメラを回し、マイクを突きつけ、荒々しく質問したりすることのようです。この言葉には、野次馬根性丸出しで襲いかかるような印象があります。そして、取材する側は、それを自慢するかのように「直撃」という言葉を使います。取材を受ける側の迷惑などおかまいなしです。記者やカメラマンが「申し訳ない」という意識を持っているとは、画面からは感じられません。

 さて、記事の中に使われている「直撃」は、それとは少し異なります。テレビの不躾な振る舞いと同じではありません。たぶん、誰かに紹介してもらってその人に連絡をするというようなことをしないで、未知の人であってもその人にじかに依頼をした、ということでしょう。けれども、その場合「直撃」がふさわしい言葉であるのでしょうか。

 記者は、「直撃」という言葉に慣れきっていて、他の表現をしようという気持ちがなかったのでしょうか、それとも、ふさわしい語彙を持っていなかったのでしょうか。

|

« 言葉の移りゆき(3) | トップページ | 言葉の移りゆき(5) »