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2018年4月19日 (木)

言葉の移りゆき(2)

国語辞典が見落としている「音源」

 

 財務省事務次官がセクハラ発言を繰り返したという週刊誌報道が問題になっています。週刊誌の側が音声データをインターネット上に公開しました。新聞の記事に次のような文章がありました。

 

 同誌は13日、福田氏の発言とする音声データをインターネット上に公開した。これを受けて上野賢一郎・財務副大臣はこの日の衆院厚生労働委員会で「音源を確認し、しかるべき対応をさせていただきたい」と述べた。

 公開された音声データは、福田氏が飲食店で30代の女性記者に「胸触っていい?」「予算が通ったら浮気するか」「抱きしめていい?」などと話したとする内容。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年4月14日・朝刊、13版、34ページ)

 

 意外なことですが「音源」という言葉は国語辞典では軽視されています。私は国語辞典の最新版を備えているわけではありませんから、最近の辞典がどうなっているのかは知りません。けれども、『岩波国語辞典・3版』(1979)、『新明解国語辞典・4版』(1989)、『現代国語例解辞典・2版』(1993)、『明鏡国語辞典・初版』(2003)には「音源」の見出しがありません。

 見出しのあるものでも、『広辞苑・4版』(1991)の「音源」の説明は「音を出しているもと。」であり、『三省堂国語辞典・5版』(2003)の説明も「おとを出すもと(になるもの)。」で、どちらも用例は記載されていません。

 この説明から連想する表現は、「騒音を発している音源」というようなものです。現在の使われ方は、CD、レコード、ICレコーダー、録音テープ、サウンドトラック、テレビ、ラジオなどの音などに傾斜しているように思います。

 「音を発している源」というよりは、「その音を記録した媒体」という意味で使われることが多いようです。上記の新聞記事の場合は、「音声データ」という言葉とほとんど同義語として使われているように感じるのです。

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