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2018年5月 6日 (日)

言葉の移りゆき(19)

「鍬焼き」は古い言葉か

 

 鍋料理の「鋤焼き(すきやき)」を知らない人はいませんが、似たような言葉に「鍬焼き(くわやき)」があります。国語辞典は新しい言葉を収集して載せることには熱心ですが、ちょっと古くなりかけていて、それでも消えてしまっていない言葉には冷淡な姿勢が見られます。「鍬焼き」もそのひとつです。

 

 「たこ坊」は昭和26(1951)年創業の「串くわ焼き」の店だ。

 「くわ焼き」とは、農具の「鍬」を使って鳥獣や肉を焼いて食べたことが起源という。すき焼きも「鋤」であり、同類の語源だと指摘されている。が、この店をはじめ大阪で「くわ焼き」を掲げる店の多くは、鉄板で焼いた串焼きであり、感覚的には串カツや焼き鳥と同様の、肩肘張らずに気軽に食べられる「串もの」である。

 (毎日新聞・大阪本社発行、2018年4月24日・夕刊、7ページ、江弘毅)

 

 小型の国語辞典を開いても「くわ焼き」は載っていません。かろうじて『広辞苑・4版』には、「鍬焼」のことを「たれで下味をした肉・野菜などを鉄板で焼いた料理。昔、野良仕事の合間、野鳥をつかまえ鍬で焼いたことによるという。」と説明しています。「鉄板で焼いた」という説明は、現在の店での提供の仕方をそのまま表現しているようです。「くわ焼き」は現代語としての市民権を得ているように思うのですが、主として関西地方で使われる言葉であるから国語辞典に載らないのでしょうか。

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