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2018年5月21日 (月)

言葉の移りゆき(34)

「時点」と「地点」

 

 ゴールデンウイークの交通機関の混雑についてのニュース記事に、次のような表現がありました。

 

 JR西日本によると、新幹線は、新大阪発鹿児島中央行き「みずほ」と東京発博多行き「のぞみ」の自由席の乗車率が、ともに新神戸駅の時点で110%に。神戸空港では、那覇や新千歳、羽田へ向かう午前中の全日空(ANA)便が全て満席となった。

 また午前10時半時点で、名神高速道路の上り線が蝉丸トンネル(滋賀県大津市)を先頭に15キロの渋滞。中国自動車道も混雑した。

 (神戸新聞、2018年4月28日・夕刊、4版、1ページ)

 

 この記事を書いた記者は「時点」という言葉がお好きなようです。一般には「午前10時半現在で」という表現が多いと思いますが、それを「10時半時点で」と言っています。「時点」は、時刻の推移の上のある一点を表す言葉です。

 一方、一般には軽く「新神戸駅で」という表現が多いと思いますが、それを「新神戸駅の時点で」と言っています。理屈を言えば、これは「時点」ではなく「(新神戸駅という)地点」です。空間の推移の上のある一点を表しているからです。善意に解釈すれば、新神戸駅に到着(あるいは新神戸駅を発車)する時ということですから、「時点」が間違いとは言い切れないでしょう。けれども、「10時半時点で」に比べると、これが何時何分頃のことを言っているのかは不明です。

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