« 言葉の移りゆき(37) | トップページ | 言葉の移りゆき(39) »

2018年5月25日 (金)

言葉の移りゆき(38)

謙遜で「なんて」を使うか

 

 「なんて」という言葉は副詞または副助詞として使われます。副助詞としての「なんて」は謙遜で使われる言葉なのでしょうか。記事の見出しが、「感動と謙遜の『なんて』」となっているのが気になりました。記事の中の、Aの文例は副詞で詠嘆や驚嘆を表す言葉です。

 

 A「プレゼントありがとう。なんてすてきなんでしょう」

 B「そんなに喜んでくれるなんて、私もうれしい」

 それぞれのセリフに出てくる「なんて」は意味や使い方が違う、別の言葉です。 …(中略)

 Bの「なんて」は、意外な思いを表す言葉です。「わたしなんて、もてるわけがない」のように、謙遜したり、軽く見たりするときにも口にします。「などと」が変化した言い方で、だから「何て」とは書けません。

 (読売新聞・東京本社発行、2018年5月23日・朝刊、12S、12ページ、「なぜなに日本語」、関根健一)

 

 確かに、「わたしなんて、もてるわけがない」というのは謙遜のように見えます。しかし、それはこの話題(文脈)の場合に、そのように感じられるに過ぎません。

 「あんたなんて、嫌いだ」というのは、相手を軽んじる気持ちを表現しています。「わたしなんて」というのは、自分を軽んじる表現なのであって、謙遜というのとは次元が少し違うように思います。

 このコラム名からすると日本語についての啓蒙記事のようですが、品詞(自立語と付属語の違い)などに言及しないで、突然のように意味を(しかも、辞書的な意味でなく、文脈上の意味を)述べるとすれば、言葉についての誤解を与えかねないことにもなります。

|

« 言葉の移りゆき(37) | トップページ | 言葉の移りゆき(39) »