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2018年5月30日 (水)

言葉の移りゆき(43)

2つで1つの「ニコイチ」

 

 古くなった団地の2つの部屋を、1つにつなげて広くなるように改修するというニュースがありました。

 

 隣り合う二つの住居を一つにつなげた上でリノベーション(改造)した物件を、大阪府住宅供給公社が「ニコイチ」と呼んで供給に力を入れている。高齢化や空き家の増加に悩む団地に若い家族を呼び込むための「秘策」は、大阪の外にも広がり出した。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年5月8日・朝刊、13版、6ページ、中島嘉克)

 

 「ニコイチ」というのは、漢字で書けば「二戸一」ということでしょうか。

 私にとって「ニコイチ」という言葉は耳新しいものではありません。今でも使っているかどうかわかりませんが、兵庫県明石市周辺の方言としての「ニコイチ」は、しばしば耳にしたことがあります。漢字で書けば「二個一」であるのかも知れません。

 例えば、乾電池などを一個売りでなく、二個のセットで売っているとすれば、「ニコイチで売っとる。」と言います。まったく同じものでなくても、「(書道の)太筆と細筆がニコイチになっとるのを買()ーた。」というような言い方もありました。二つで一つのセットであるという意味です。

 極端な言い方として、仲のよい友達同士がいつも行動を共にしているのを見て、「あいつらは、いつもニコイチや。」と言ったりもしたように思います。二人で一人前というのではなく、二人が一心同体であるように見えるというのです。

 記事にあるような住宅改修の方式が普及していったとして、横書きの外来語で目新しさを表現しようとするよりは、日本語を工夫して新しい事象を表現しようとすることには賛成です。それが古い言い回しや方言表現と関連があったりすると、ほっとした温もりを感じることになります。「リノベーション」も、「作り替え」や「作り直し」で十分ではありませんか。

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