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2018年5月31日 (木)

言葉の移りゆき(44)

「対面」通行とは何か

 

 「対面」とは、顔を合わせることです。自動販売機の増加で、対面でものを買うことが少なくなりつつあります。「対面」には、互いに向き合うことという意味もあります。

 「対面交通」という言葉は、子どもの頃から聞き慣れた言葉です。歩道や車道の区別のない道路で、人は右、車は左というように、人と車が向かい合って通行することです。

 次のような交通の形にも「対面」を使うのでしょうか。

 

 片側1車線の高速道路で、車が対向車線に飛び出す事故を防ぐため、国土交通省が中央線にワイヤロープを張る実証実験を行ったところ、事故が激減した。国内の高速道路では対面通行が約4割を占めるが、飛び出し事故は年間3000件前後発生しており、同省は実験結果を検証し、今年度から本格的な設置を目指す。

 (読売新聞・大阪本社発行、2018年5月8日・夕刊、3版、10ページ)

 

 道を通るときに相手の人や車を見ないということはありえませんから、すべて「対面」のはずです。

 ところが、人と車の関係では、前述のように、歩道や車道の区別のない道路で、人は右、車は左というように、人と車が向かい合って通行します。高速道路の場合は、「片側1車線」の場合を「対面通行」と呼んでいるようです。

 この二つの場合を比べると、歩道や車道の区別のない道路での「対面交通」、中央に分離帯がない(すなわち、上下線の区別や区切りがきちんと行われていない)1車線道路の「対面通行」という使い方のようです。要は、「区別(区切り)がない」ということを基準にして、「対面」であるかないかという使い分けが行われているようです。そのことは、国語辞典に明確に示されていないように思います。

 

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