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2018年6月 1日 (金)

言葉の移りゆき(45)

「卍」の自在変化

 

 寺院の記号として地図に使われている「卍」は漢字です。「まんじ」と読みますが、それが若者たちを中心に使われていることを知って驚きました。

 

 「信じられない」という意味で使うなら「マジ」だけでいいはずだ。そこにあえて「卍」をつける。「マジ、マジ」という強調表現が「マジ、マンジ」という音の変化となり、「マンジ」が「卍」に置き換えられた、などというもっともらしい解説はできる。 …(中略)

 「マジ卍」以外にも「卍卍」は「イェーイ」、「卍からの卍」は「イェーイからのウエーイ」など、バリエーションは多彩だ。 …(中略)

 JKにとって「卍」が漢字であろうがなかろうが関係ない。感情に合わせて文字を選び、それがどう受け取られるかが重要なのだ。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年5月9日・夕刊、3版、5ページ、「ことばのたまゆら」、前田安正)

 

 私が納得できるのは「マジ卍」までです。「卍卍」が「イェーイ」、「卍からの卍」が「イェーイからのウエーイ」であるというのは私の理解能力を超えています。

 「卍」は寺院の記号に使われていますから仏教臭が強いように思われがちですが、もともとは吉祥や瑞祥の印です。また、文字の形から、旋回する様子も表します。「イェーイ」などというのは、それと関連づけることはできないわけではありません。けれども、若者はそういうことを考えたわけではないでしょう。

 記事では、若者が感情に合わせて文字を選んだというように書かれています。若者は、普段は使わない漢字にどのようにして出会い、どういう感情を「卍」に込めたのでしょうか。

 ある思いを持って漢字を選び、その漢字をどう発音するかは別の思いを込めて行う、というのは、最近の人名の付け方(漢字に特異な読みをあてはめること)と共通するようにも思われます。漢字は象形文字とか会意文字とかいう範疇を超えて、感情を表すマークに変化していっているのでしょうか。

 

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