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2018年6月 4日 (月)

言葉の移りゆき(48)

じっとしていても「稼働」

 

 サッカーJ1のヴィッセル神戸の本拠地であるノエビアスタジアム神戸に、ハイブリッド芝が導入されたという記事がありました。

 

 ハイブリッド芝は地中に人工芝の繊維を置き、その上に天然芝を植えこむ形で作られる。 …(中略)… 芝生の専門家で日本スポーツターフ事務局長の杉沢幹生さんによると、「天然芝では年間800時間の稼働が精いっぱいだが、ハイブリッド芝ならば2倍以上の2千時間は使えることになる」という。 …(中略)

 まだ芝生のピッチが少ない日本で、稼働時間を多くし、芝生に触れる機会を増やすことができる。また、芝生が傷むため敬遠されがちな音楽イベント開催なども可能になり、スタジアムの稼働率を上げることも期待されている。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年5月12日・朝刊、be4ページ、「be report」、河野正樹)

 

 「稼働」という言葉は、人が稼ぎ働くことが元の意味であって、機械を動かすこと、機械が動くことにも使われています。

 「スタジアムの稼働率を上げる」という言い方には異議はありません。スタジアムという施設・設備がどのように動いているかという割合であるからです。

 けれども、植え込まれた芝生の上で試合が行われるのを「稼働」と表現するのは抵抗感があります。芝生は試合に役立っているのですが、じっと酷使に耐えているだけです。「稼働」は機械や施設・設備などが動くという印象が強いので、そのものの積極的な働きかけがなくても「稼働」と言えるのか、疑問です。

 人がお金(お札)を使って投資などをして、利益が上がった場合に、お金(お札)の稼働率などという言葉が使われるかもしれませんね。お金は機械ではなく、自分から動いたりはしていないのですが。

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