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2018年6月 7日 (木)

言葉の移りゆき(51)

「カンキレ」でイメージが浮かぶか

 

 二つの形容詞や形容動詞を並べて表現する言葉があります。私の場合、小さい頃から聞き慣れてきた方言の言葉に、「あまからい(甘辛い)」「あまずいい(甘酸っぱい)」「うっとぐらい(鬱陶しくて暗い)」「あかぐろい(赤くて黒い)」などがあります。

 今は、それを4音で表す言い方が広がっているようで、「辛しび油そば」という言葉を引き合いに出した、次のような文章がありました。

 

 「辛い」「しびれる」のように、複数の形容語句を縮める言い方は、多いようで、あまり実例が集まりません。以前、「エロカワ」(エロくて可愛い)という言葉が流行しましたが、これと似た「キモカワ」(気持ち悪いが可愛い)、「ブサカワ」(不細工でも可愛い)などが代表例でしょうか。 …(中略)

 外国人留学生が「安くてうまい」の略「安うま」を報告してくれたことがあります。言われてみると、わりあいよく使われています。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2016年4月9日・朝刊、be3ページ、「街のB級言葉図鑑」、飯間浩明)

 

 京都で、着物の愛好者を増やそうとする試みがされているというニュースがありました。そこにも同類の言葉が使われています。

 

 京都府も動き出した。簡単できれいに着られるように改良した「カンキレきもの」の開発に力を入れる。 …(中略)

 京都府染織・工芸課は、2年後に開かれる東京五輪を、着物をアピールする絶好のチャンスととらえている。「カンキレきもの」をきっかけに、ゆくゆくは伝統の技を施した着物にも興味を持ってもらえればと期待を寄せている。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年5月18日・夕刊、3版、1ページ、佐藤慈子)

 

 これは記者が作り出した言葉ではなく、役所が使っている言葉のようです。簡単で綺麗だから「カンキレ」と言うのですが、初めて聞いたときに簡単・綺麗という言葉が思い浮かぶかどうか、ちょっとアピール力は弱いように思います。「カン」はよいとしても、「キレ」は「切れ」とか「布」が浮かんでしまうかもしれません。定着するのが難しい言葉でしょう。

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