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2018年6月11日 (月)

言葉の移りゆき(55)

目で見て、耳で聞いて、抵抗感のある言葉

 

 専門にしている人だけにわかればよい言葉がアルファベットの略語で書かれていても仕方がありません。けれども、日常的な食べ物で、純粋に日本の食べ物であるものが、そのような書き方であったら違和感を覚えます。

 岡山県美咲町の第三セクターが運営する食堂が話題になっている記事がありました。

 

 ご飯に卵を落とし箸でぐるぐるっと混ぜ、しょうゆをちょい。口の中で黄身のコクとご飯の甘さがマッチング。かけ値なしの卵かけご飯だ。ご飯と卵はおかわり自由。 …(中略)

 08年の開店時「実は3カ月で閉店かと思っていた」と川島さん。だが10年間でのべ72万人が訪れ、卵かけご飯は町の名物に育った。「『たまごかけごはん』の8文字で誰にでも中身が伝わるシンプルさがよかったのかも」 …(中略)

 もしかして、現代こそが黄金期なのかもれない。専用しょうゆが発売され、「TKG」の愛称も誕生。昨年は白身を泡立てる調理玩具「究極のTKG」が話題を集めた。 …(中略)

 福島県二本松市の「PPQC研究所」は、卵の品質管理検査と研究を行う。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年5月22日・夕刊、3版、7ページ、「生で食べるをたどって 1」、大村美香)

 

 「PPQC」という言葉が何を意味するのかわからなくても気にはなりませんが、「TKG」が「たまごかけごはん」だと言われたら仰天です。「TKG」は「たまごかけごはん」を輸出するようなことになった場合、国外向けに使ってくださいませんか。

 「TKG」という略語を誰が考え出したのか知りませんが、記事にもあるように「『たまごかけごはん』の8文字で誰にでも中身が伝わるシンプルさがよかった」はずです。目で見て何の機械を表しているのかと小首を傾げるような言葉、耳で聞いて「ティーケージー」という無味乾燥な発音。そんなものがはびこっては困ります。

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