« 言葉の移りゆき(56) | トップページ | 言葉の移りゆき(58) »

2018年6月13日 (水)

言葉の移りゆき(57)

彫刻像の「来日」

 

 横浜美術館で開催中の「ヌード」国際巡回展について、3人の専門家のコメントを特集した記事に添えられた写真。その写真説明は異例の長さですが、次のような言葉でした。

 

 初来日したロダンの大理石彫刻「接吻」(190104)は今回の目玉作品の一つで、報道内覧会の時から注目を集めた。その官能性ゆえ、戦前の日本ではブロンズ版を専門家だけに見せたことも=横浜市西区の横浜美術館

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年5月25日・朝刊、13版、28ページ、「クロスレビュー」)

 

 「来日」とは外国人が日本に来ることです。彫刻が人体像だから擬人法を使ったのだと言えるかもしれませんが、記事の中で使われていない言葉であるのに、写真説明で言うことには違和感があります。

 このような言葉の順序では「初来日したロダン」という解釈も成り立ってしまいそうですし、「初来日した大理石彫刻」という言い方にも問題がありそうです。

 外国の作品が海を渡ってきて、日本での展覧会に出品されることをどう言えばよいのでしょうか。普通は「日本で初公開」などと言うでしょう。「来日」と言ってしまえば、展覧会が終わって像が帰っていくことは「離日」になるのでしょうか。

 些細なことですが、気になるものはやっぱり気になるのです。

 

|

« 言葉の移りゆき(56) | トップページ | 言葉の移りゆき(58) »