« 言葉の移りゆき(99) | トップページ | 言葉の移りゆき(101) »

2018年7月30日 (月)

言葉の移りゆき(100)

饂飩と蕎麦の「ちゃんぽん」

 

 違った種類のものを混ぜ合わすことを「ちゃんぽん」と言います。「日本酒とウイスキーをちゃんぽんで飲んだら、悪酔いするぞ」などと言います。食べ物以外の場合にも、この言葉は使います。

 食べ物の「チャンポン」は、肉・魚介・野菜などを中華麺と一緒にスープで煮たもののことですが、種類の違う食べ物を合わせて作り上げたものも「チャンポン」と言うことがあります。

 けれども、本来の「チャンポン」は中華麺で作られていますから、次のような「チャンポン」は勇み足かもしれません。

 

 JR高岡駅(富山県高岡市)の改札と直結のフロアにある「うどん・そば今庄」の「チャンポン」だ。「当店オリジナル!! うどんとそばがいっしょに食べられる、おいしい一品です」とある。つまり、うどんとそばの合い盛りなのだ。これはもう食べるしかないだろうと思って、「天ぷらチャンポン」を注文した。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年6月16日・朝刊、be7ページ、「食べテツの女」、若宮和子)

 

 確かに、うどんにすればうどんだけ、そばにすればそばだけというのが一般的ですから、その両方が食べられるのは面白いかもしれません。

 けれども、それを「チャンポン」と称するのは、本来のチャンポン()の領分を侵すという遠慮からか、次のような名付けもあります。

 

 立ち食い専門で間仕切りもない「王冠」には、珍メニュー「大盛紅白うどんそば」がある。これは、一杯の丼にそば1玉とうどん1玉を両方盛りつけたもの。食感の違和感が生じそうに思うかもしれないが、細うどん(この店には普通のうどんと細うどんがある)を使っているので違和感は少ない。水菜で仕切りを作るなど、遊び心もあって面白い。

 (鈴木弘毅『全国駅そば名店100選』、2015年2月20日発行、洋泉社〔新書y〕、152ページ、「近畿日本鉄道南大阪線・大阪阿部野橋駅 王冠」)

 

 「チャンポン」という名付けと、「うどんそば」と並べた名付けとの間には、発想の違いのようなものも感じられます。どう食べるかは自由ですが、「チャンポン」は交互に食べたり、混ぜ合わせたりして食べることを連想しますが、「うどんそば」は一方を平らげてから他方へ移るような食べ方が正統派であるように思ってしまいます。

 ついでながら、「紅白」と言う理由がわかりません。トッピングで紅白のものが載せられているわけでもないようです。「大盛うどんそば」では満腹感ばかりが強調されるようなので、言葉で彩りを添えたのかもしれません。

|

« 言葉の移りゆき(99) | トップページ | 言葉の移りゆき(101) »