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2018年7月 2日 (月)

言葉の移りゆき(72)

「熱視線」は国語辞典に載るか

 

 NHK大阪放送局が制作している番組に「かんさい熱視線」というタイトルがあって、関西のさまざまな話題を取り上げています。この「熱視線」という言葉はまだ国語辞典には取り上げられていないように思います。

 その「熱視線」を続けざまに、新聞の見出しで見ました。

 

 神戸発 水素発電に熱視線 / 市街地に供給 世界初 / 大林組・川重が実証

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年6月5日・朝刊、13版、8ページ、見出し)

 

 流転の巨大砂時計 / 8年前 大阪駅から明石へ 「大きすぎ」休眠 / 砂のまち鳥取 PRへ熱視線

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年6月8日・夕刊、3版、12ページ、見出し)

 

 大阪万博を再び 熱視線

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年6月9日・朝刊、13版、21ページ、見出し)

 

 立て続けに「熱視線」という言葉が使われています。共通することは、記事の中には「熱視線」は使われずに、見出しだけで使われていること、そして、関西を話題にしている記事で使われていることです。

 「熱視線」がどれほど広く使われ始めているのか、私にはよくわかりません。全国的な使われ方なのか、関西で主に使われているのかもわかりません。けれども、記者が文章の中で使っていない言葉を、記事を整理した人が見出しとして使っていることから考えると、注目を引きやすい単語であるということは確かでしょう。これは特定の新聞の傾向かもしれませんし、記事を整理した人の個人的な好みであるのかもしれません。

 この言葉はたぶん、「注目を集めている」ということの強調表現でしょう。強い関心を持って見つめられている、期待や好意を持った眼差しが感じられる、ということでしょう。ところで「熱視線」に続く動詞は何と言うのでしょう。熱視線を集める、熱視線を受ける、熱視線を注ぐ、熱視線を浴びせる、…。いずれの表現もしっくりとした感じにはなりません。述語との関係を考えるよりは、上記の見出しのように、「熱視線」という単語だけをぽつんと放り出すような使い方がふさわしい言葉であるのかもしれません。

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