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2018年7月 5日 (木)

言葉の移りゆき(75)

インターネット上の伝達でも「口コミ」か

 

 「口コミ」というのは「マスコミ」をもじった言葉ですが、評判や噂などが口から口へ伝えられて広がることです。対面して行われるコミュニケーションです。ところが最近、「口コミ」という言葉が人間関係の上に築かれていることを“悪用”した言葉遣いが見られます。実際にはそうでないものに、「口コミ」という言葉の表す長所だけを利用しているのです。

 

 訪日客には、西日本の観光地が人気-。旅行口コミサイト「トリップアドバイザー」は12日、訪日客に人気の観光地トップ30を発表した。 …(中略)

 トリップアドバイザーの広報担当者は「口コミが新たな口コミを呼び、上位の観光地を訪れる人が増えている」という。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年6月13日・朝刊、13版、8ページ、久保田侑暉)

 

 このようなサイトがあっては困るとは思いませんが、これを「口コミサイト」と自称するのはおかしいと思います。広告も掲載され、効果も計算されたサイトは立派なマスコミです。「口コミ」という言葉を使うことによって、何ものにも歪められずに生の意見が反映されているように装うのはおかしいと思います。「口コミ」という言葉を利用して宣伝効果などを上げるのは控えるべきでしょう。

 効果があると思われるものに飛びついて、自分たちの利益を上げようとするのが現代の風潮です。同時に誇大広告は規制されています。誇大でなくても、口コミでないものを口コミと称するのは、言葉の上での明らかな「違反」と考えるべきでしょう。

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