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2018年7月12日 (木)

言葉の移りゆき(82)

便利な言葉、具体性のない言葉

 

 文部科学省の私立大学支援事業の対象校に選定されることの見返りに、自分の子を大学入試で合格させてもらったという、信じられないような事件が起きました。次の2つの文は、そのニュースを伝える、1面トップ記事のリード文です。

 

 関係者によると、選定を依頼したのは東京医科大学(東京都新宿区)の関係者だという。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月5日・朝刊、13版、1ページ)

 

 文部科学省の私立大学支援事業をめぐる汚職事件で、事業の対象校に選定されるよう前科学技術・学術政策局長の佐野太容疑者(58)に依頼していたのは東京医科大学の臼井正彦理事長(77)だったことが、関係者の話でわかった。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月6日・朝刊、13版◎、1ページ)

 

 ニュース源を秘匿するという趣旨は理解できますが、その場合に「関係者」という言葉は使い勝手のよいもののようです。

 同時に、明らかになっていない(もしくは、明らかにすることをはばかる)人物のことを指す場合にも「関係者」は便利な言葉のようです。

 けれども、読者からすれば、この言葉によって内容をあいまいにされているという気持ちが生じます。

 5日付けの文は、「関係者によると、……の関係者だという。」という、あいまいさに輪をかけたような表現です。読み返して表現を改めようという気持ちが生じなかったのだろうかと、首を傾げます。

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