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2018年7月17日 (火)

言葉の移りゆき(87)

話し言葉から書き言葉への昇格

 

 まずは、ある新聞記事の冒頭の段落を引用します。

 

 手がける企画の数が半端ない。運動が苦手な人も楽しめる「ゆるスポーツ」、義足をつけた女性たちのファッションショー、高齢のアイドルグループなど、ゆうに10は超える。生涯や老いに光をあてるプロジェクトの仕掛け人。本業は、大手広告会社のコピーライター兼プロジューサーだ。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月14日・朝刊、be1ページ、「フロントライナー」、佐藤陽)

 

 書き言葉をもとにして流行して定着していく言葉もありますが、話し言葉がもとで社会に広まっていく言葉の方が圧倒的に多いと思います。

 「半端ない」という言葉も、話し言葉をを原点にして、打ち言葉(インターネットやスマートホンで使われる言葉)を経て、書き言葉になっていくのでしょう。

 ところが、そのスピードがあまりにも速いと思います。新聞記事(書き言葉)の冒頭にこの言葉が現れているのです。記事の中で記者が積極的に使い始めているのです。

 この言葉の由来を記した記事がありました。

 

 元になったのは2009年の全国高校サッカー選手権準々決勝。大迫擁する鹿児島城西に敗れた滝川二(兵庫)の選手が叫んだ。「大迫半端ないって、あいつ半端ないって。後ろ向きのボールめっちゃトラップするもん。そんなのできひんやん普通」。この様子がテレビで放映され、注目を浴びた。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年6月21日・朝刊、13版、32ページ、河崎優子)

 

 この記事の見出しは〈「大迫、半端ないって」ネット拡散 / 元ネタは高校時代の対戦相手〉となっています。これが事実であるのなら、言葉の流行の原点がこれほど明確になっている例は稀少だと思います。

 「半端ない」が2009年発祥だとすれば、本年までの9年間、この言葉がどのような命脈を辿って、2018年の流行語に台頭したのかも興味あるところです。きっと誰かがそのあたりのことを明らかにしてくれるだろうと期待しています。

 さて、同じ日の夕刊記事の見出しは〈大迫 やっぱり半端なかった / 押し相撲も圧勝■練習相手の監督「なんだ、こいつ」〉となっており、記事の冒頭は次のような表現になっています。

 

 中学生で大学生相手にゴールを決め、おまけに相撲も強かった-。サッカーワールドカップ(W杯)ロシア大会で格上のコロンビアから決勝ゴールを決め、日本を勝利に導いたFW大迫勇也(28)=独1部・ブレーメン=は、若いころから「半端ない」逸話を残してきた。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年6月21日・夕刊、3版、11ページ、カザン=堤之剛)

 

 次回は、この「半端ない」という言葉についての私の思いについて書きます。

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