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2018年7月27日 (金)

言葉の移りゆき(97)

テニスコートの「鵜の目鷹の目」

 

 日本には、飼い慣らした鵜を使って鮎などをとる「鵜飼い」があります。また、飼い慣らした鷹を山野に放って鳥や兎を捕らえさせる「鷹狩り」もありました。その「鵜」と「鷹」を用いて、「鵜の目鷹の目」という言葉があります。鵜や鷹が獲物を探し求めるような目つきのことです。この言葉は、しつこくものを探し出そうとするときの鋭い目つきのことを表現しているのです。他人の欠点・欠陥などを探して表立てるときに使う言葉です。

 テニスで、打球がコートの内側に落ちたかどうかを判断するときに「タカの目」が役立つのだそうです。

 

 打球は時速200キロを超えることもあり、コートをいっぱいに使ったラインぎりぎりの攻防が繰り広げられます。ここでは、「タカの目」が重要な役割を担います。

 ライン際の正確な判定は人間の目では難しく、その支援のため、4大大会では2006年の全米から導入されたシステムが、タカの目を意味する「ホークアイ」です。 …(中略)

 獲物に向かって飛び立つタカの鋭い目つきやその探知能力は、国は違っても似た印象で捉えられてきました。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年6月27日・朝刊、10版、15ページ、「ことばの広場 校閲センターから」、岩本真一郎)

 

 この「タカの目」は、欠点・欠陥を探すのではなく、正確な位置の判断のために使われているようです。科学者から見ると、「鵜の目」よりも「鷹の目」の方に、目つきや探知能力との共通点が感じられたのでしょうか。「鵜の目」にとっては残念なことです。

 「鵜の目鷹の目」が科学分野の言葉に広がったことを喜ぶべきでしょうか、それとも、鵜の目鷹の目で監視していなかったから他の事柄に使われるようになってしまったと残念がるべきでしょうか。

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