« 【掲載記事の一覧】 | トップページ | 言葉の移りゆき(103) »

2018年8月 1日 (水)

言葉の移りゆき(102)

「まわしよみ新聞」とは何か

 

 あちこちで使われ始めている言葉かもしれませんが、私が「まわしよみ新聞」という奇妙な言葉遣いを初めて知ったのは次の記事でした。「まわしよみ」とはどういう意味なのでしょうか。それが平仮名ばかりで書かれているのはどういう理由からでしょうか。「まわしよみ」という言葉を漢字交じりで書くと「回し読み」になるのでしょうか。その文字遣いが正しいのかどうかということすらわかりませんでした。

 

 気に入った新聞を切り貼りして壁新聞をつくる「まわしよみ新聞」が、学校の授業で広がりつつある。様々なニュースに触れて社会の動きを知ることに加え、グループで取り組むことで対話が促されることがポイント。自分の意見を伝えるとともに、相手の考えも理解するコミュニケーション力を育む効果が注目されている。 …(中略)

 この日は3年生23人が3~4人ずつの班に分かれ、15分間の「新聞まわしよみタイム」から開始。持ち寄った新聞を読み、「とっておき」の記事や広告、写真を1人二つ探してハサミで切り抜いた。 …(中略)

 こうしたまわしよみ新聞の活動は、イベント企画などを手がける陸奥賢さん(40)が大阪市西成区の喫茶店で地元の人たちと新聞を切り貼りする「遊び」で始めたのがルーツだ。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月3日・朝刊、13版、27ページ、渡辺元史、金子元希)

 

 「まわしよみ」という言葉の意味を理解したいと思い、その言葉が使われている部分を引用しました。(この言葉は、他にも3箇所で使われています。)

 「まわしよみ(回し読み)」という言葉から先ず頭の中に浮かぶのは「回覧板」という言葉です。一つの新聞を何人かで次々と読んでいくということから「まわしよみ」という言葉が生まれたのでしょうか。けれども、この記事を見る限りでは、「気に入った新聞を切り貼りして壁新聞をつくる」活動を指しているようです。そののちに議論することによって、「自分の意見を伝えるとともに、相手の考えも理解する」という効果があると述べられています。

 けれども、この記事では、テーマを決めて(あるいは、しだいにテーマを絞っていって)議論するということは話題になっていません。まさに、「新聞を切り貼りする遊びで始めた」こと(陸奥さんの言葉)が、学校の教室でも行われているということしか理解できませんでした。

 個人の興味で新聞記事を切り取って、それを貼り付けた新聞を作るというのが、この活動の眼目のようです。個人個人の関心の広がりは理解できますが、そのような関心を出発点にした場合、焦点が絞られていって議論が深まること、すなわち他の人とのコミュニケーション力の育成は期待できるのでしょうか。

 この記事では、小学校の実施例が紹介されていますが、小学校では目的を果たしているように思います。けれども、高等学校の実施例は、もっと綿密な指導案を作成しなければならないのではないかと思いました。

 NIEに限らず、新聞社はなんとか新聞を活用してもらって読者減に歯止めをかけようと躍起になっているようですが、もっと効果的な新聞活用の方法を提案してみてはどうでしょうか。

|

« 【掲載記事の一覧】 | トップページ | 言葉の移りゆき(103) »