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2018年8月 4日 (土)

言葉の移りゆき(105)

「輩出」から「OB」「OG」へ

 

 全国高等学校野球選手権大会は100回目の節目の年ですが、地方予選で次々に代表校が決まりました。その代表校を短く紹介する文章が、連日、掲載されました。

 朝日新聞には、昨年も同じような記事があって、「輩出」という言葉の使い方がおかしいと感じておりました。

 今年も、同様の記事がありましたが、それが、微妙に変化していきました。「輩出」の言葉の使い方に気づいたようです。その変化の跡をたどります。

 

 北北海道 旭川大() 9年ぶり。1898年創立の私立。女子柔道も盛んで五輪メダリストが出た。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月22日・朝刊、13版、10ページ)

 

 南北海道 北照() 5年ぶり。1901年創立の私立。ジャンプの船木和喜ら五輪選手が輩出。

 青森 八戸学院光星() 2年ぶり。1956年創立の私立。OBに巨人の坂本勇人ら。

 岩手 花巻東() 3年ぶり。1956年創立の私立。菊池雄星、大谷翔平らが輩出。

 熊本 東海大星翔() 35年ぶり。1961年創立の私立。プロゴルファーの古閑美保らが輩出。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月23日・朝刊、13版、13ページ)

 

 南埼玉 浦和学院(13) 5年ぶり。1978年開校の私立。OBに元西武の鈴木健ら多数輩出。

 北福岡 折尾愛真() 1935年創立の私立。OBに阪神2年目の投手、小野泰己。キリスト教系。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月24日・朝刊、13版、25ページ)

 

 富山 高岡商(19) 2年連続。1897年創立の県立。OBに映画監督の滝田洋二郎さんら。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月25日・朝刊、13版、17ページ)

 

 

 石川 星稜(19) 2年ぶり。1962年創立の私立。OBに元ヤンキースの松井秀喜ら。

 鳥取 鳥取城北() 3年ぶり。1963年創立の私立。相撲部が強く、大相撲力士が輩出。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月26日・朝刊、13版、15ページ)

 

 京都 龍谷大平安(34) 4年ぶり。1876年創立の私立。OBに米アカデミー賞受賞の辻一弘さん。

 和歌山 智弁和歌山(23) 2年連続。OBに日本ハム外野手の西川遙輝ら。

 高知 高知商(23) 12年ぶり。1898年創立の高知市立。OBに阪神の藤川球児ら。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月27日・朝刊、13版、17ページ)

 

 東愛知 愛産大三河() 22年ぶり。1983年創立の私立。OGにアーチェリーの蟹江美貴ら。

 愛媛 済美() 2年連続。1901年創立の私立。卒業生に楽天の安楽智大ら。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月28日・朝刊、13版、21ページ)

 

 西愛知 愛工大名電(12) 5年ぶり。1912年創立の私立。OBに工藤公康やイチローら。

 南大阪 近大付() 10年ぶり。1939年創立の私立。水泳部、テニス部なども全国レベル。

 東兵庫 報徳学園(15) 8年ぶり。1911創立の私立。元近鉄の金村義明らプロ選手が多く輩出。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月29日・朝刊、13版、13ページ)

 

 東東京 二松学舎大付() 2年連続。1948年創立の私立。82年選抜準優勝。OBに広島の鈴木誠也。

 南神奈川 横浜(18) 3年連続。1942年開校の私立。OBに中日の松坂大輔らプロ選手多数。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月30日・朝刊、13版、12ページ)

 

 西東京 日大三(17) 5年ぶり。1929年創立の私立。OBに元ヤクルト監督の関根潤三ら。

 北神奈川 慶応(18) 10年ぶり。明治時代にできた同普通部が前身の私立。OBに加山雄三さん。

 北大阪 大阪桐蔭(10) 2年連続。1983年創立の私立。OBにプロ野球阪神の藤浪晋太郎ら。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月31日・朝刊、13版、19ページ)

 

 「輩出」とは、優れた人物が次々と世に出ることです。自動詞でもありますし他動詞でもありますから、「…が輩出した」でもよいでしようし、「…を輩出した」でもよいでしょう。

 高等学校は公教育を行っていますから、どの学校も多くの優れた卒業生を輩出していることに間違いはありません。ただし、この紹介記事は、野球、スポーツ、芸能などの世界の卒業生を紹介しているようです。その場合に、野球、スポーツ、芸能などの世界の卒業生に著名人が多いかどうかということで「輩出」が使えるかどうかが決まってくるでしょう。その世界の著名人が3人とか5人とかの場合は、「輩出」は使えないでしょう。

 スペースの都合もあるのでしょうが、一人だけしか書いていない場合もあって、その場合は「…ら」という言葉で逃げている感じです。「多数輩出」という表現もありますが、「輩出」は「多数」の場合にしか使いません。

 「輩出」の正しい使い方をしているのは、「OBに元西武の鈴木健ら多数輩出」、「相撲部が強く、大相撲力士が輩出」、「元近鉄の金村義明らプロ選手が多く輩出」あたりでしょう。

 あとになるに従って「OB」「OG」「卒業生」という言葉が多くなるのは、「輩出」の使い方に気付いたからだと思います。

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