« 言葉の移りゆき(105) | トップページ | 言葉の移りゆき(107) »

2018年8月 5日 (日)

言葉の移りゆき(106)

「スポーツ」の商業主義

 

 全国高等学校野球選手権大会の代表校を紹介する記事についての続編です。

 「〇〇年創立の私立」という言葉が次々と出てきます。ほとんどが「私立」ならば、それを省略して、そうでない場合だけを書けばよいでしょう。

 

 香川 丸亀城西() 13年ぶり。1918年創立の県立。93年に丸亀商から改称。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月23日・朝刊、13版、13ページ)

 

 秋田 金足農() 11年ぶり。1928年創立の県立。ウェートリフティング部は全国レベル。

 富山 高岡商(19) 2年連続。1897年創立の県立。OBに映画監督の滝田洋二郎さんら。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月25日・朝刊、13版、17ページ)

 

 三重 白山() 1959年創立の県立。自然に囲まれた立地。キャリア教育に力を入れる。

 佐賀 佐賀商(16) 10年ぶり。1907年創立の県立。94年夏の甲子園で優勝を果たしている。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月26日・朝刊、13版、15ページ)

 

 徳島 鳴門(12) 2年ぶり。1909年創立の県立。県内でも珍しい阿波踊り部がある。

 高知 高知商(23) 12年ぶり。1898年創立の高知市立。OBに阪神の藤川球児ら。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月27日・朝刊、13版、17ページ)

 

 西兵庫 明石商() 1953年創立の明石市立。国際会計科と商業科があり、多彩な人材を育成。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月28日・朝刊、13版、21ページ)

 

 全56校のうち、公立高校は8校だけです。

 私が高校3年生であったとき(昭和35)、母校が全国大会に出場しました。何度も甲子園球場で応援をしました。兵庫県立明石高校の対戦相手は、1回戦が宮崎県立宮崎大淀高校、2回戦が福岡県立戸畑高校、準々決勝が佐賀県立鹿島高校でした。すべて九州の県立高校でした。残念ながら、ベスト4には進出できませんでした。

 今年の兵庫県は東・西にわかれましたが、西兵庫大会はベスト16に進出したのがすべて公立高校であり、最終的には明石市立明石商業高校が代表になりました。東兵庫大会は、尼崎市立尼崎高校が、決勝戦で報徳学園に敗れて代表を逸しました。兵庫県は公立高校が頑張っています。

 100年前の大会と言わないまでも、50年前とも代表校の色分けは変貌してしまっています。全国から野球少年を集める私立高校が強くなっていくのは当然でしょう。学区に制約のある学校を集めた、全国「公立高等学校」野球選手権大会も開催してほしいというような苛立ちも感じます。

 スターを育てて商業面で利益を得ようとすることが高校野球の目的ではないと思います。けれども、新聞の報道は、スター選手を特別視して、勝利第一主義で突っ走っているように感じられます。負けたチームをわずかにフォローしている文章もありますが、それがわずかな教育的配慮でしょう。それが済んだら注目する学校や選手を大々的に取り上げ続けています。

 国民の祝日「体育の日」が「スポーツの日」に変えられ、国の機関が「スポーツ庁」であり、勝つことが至上の価値のように喧伝されています。オリンピックは商業一色です。

 ほんとうの意味での「体育」はどこへ行ってしまったのでしょう。小中高校の教科である「体育」が「スポーツ」に変わる日が来れば、健全育成を目的にした体育は終焉を迎えることになるかもしれません。

|

« 言葉の移りゆき(105) | トップページ | 言葉の移りゆき(107) »