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2018年8月 7日 (火)

言葉の移りゆき(108)

ごちゃ混ぜ日本語

 

 新聞は、一部の編集者が勝手な言葉遣い(あるいは表記)を用い、それがいかにも先駆的な表現であるかのように誤解している面があると思います。新聞が日本語を壊したり、あらぬ方向へ誘導するような働きをしてはいけません。

 

 米国と中国の貿易摩擦が激しさを増している。第2次世界大戦前の保護主義政策の応酬を思い起こさせるような事態だ。世界は過去に逆戻りする……「バック・トゥ・ザ・近代?」なのか。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月11日・朝刊、13版、13ページ、「耕論 オピニオン&フォーラム」)

 

 このページの見出しは〈バック・トゥ・近代?〉です。このページの趣旨は、わずか2行ほどの前書きでじゅうぶん理解できます。そして、3人の意見をそれぞれの聞き手が文章をまとめています。3人の意見のそれぞれに付けられた見出しは〈保護主義台頭 必然の流れ〉、〈自由貿易へ揺り戻し来る〉、〈日本の姿勢 問われる局面〉です。記事の中には「バック・トゥ・ザ・近代?」などという言葉は、どこにも出てきません。

 いい加減だなぁと思うのは、大きな見出しは「バック・トゥ・近代?」であり、リード文は「バック・トゥ・ザ・近代?」であり、イラストには「BACK ←…TO THE KINDAI」の文字が書き入れられています。「ザ」の有無、「?」の有無など、気まぐれのようです。

 それよりも何よりも、どうして「バック・トゥ・ザ」という外来語と「近代」という日本語とを混在させるのか、編集者の趣味以外の何ものでもないでしょう。見出しとリード文が、一ページ全体の中で浮き上がってしまって、3人の意見を茶化しているようにも見えます。

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