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2018年8月14日 (火)

言葉の移りゆき(115)

番組欄のラジオ冷遇と、記事のいい加減さ

 

 災害が起こるとラジオの有り難さがわかります。けれども、普段はラジオを聴く人が少ないかもしれません。

 ラジオの価値は、災害時の放送だけに限りません。テレビが画面と音で即物的に表現するのに対して、音だけのラジオは想像力をかき立てる力を持っています。人間には創造力や想像力が必要だと声を大にして唱えても、テレビの画面や音に支配されている毎日では考える力もしぼんでしまうかもしれません。

 さて、新聞のテレビ欄に比べて、ラジオ欄は冷遇されています。例えば、6時間近くの長時間番組であるNHKラジオ第1放送の「ラジオ深夜便」の紹介は、こんな具合になっています。

 

 11.15 関西発深夜便 住田功一 列島エッセー▽アジア▽歌

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年8月10日・夕刊、3版、7ページ)

 

 11.15 関西発深夜便 住田功一 くらしのたより街は生き▽日本の歌▽ことば選

 (読売新聞・大阪本社発行、2018年8月10日・夕刊、3版、7ページ)

 

 たったこれだけの言葉で5時間近い番組の内容を紹介したことになるのでしょうか。ほとんど単語を並べているに過ぎないのです。この記事を初めて見た人は、番組を聞こうとする気持ちを持つでしょうか。

 駄弁を弄して視聴者を呼び寄せようとするような、テレビ欄の書き方とはまったく異なっています。ラジオを冷遇している、などという言葉で表現しても言い足りません。

 ところで、時々、ラジオ番組を紹介する記事が載ります。

 

 関西発ラジオ深夜便 ★NHK① 夜1115 日本列島くらしのたよりは、奈良市の話題を届ける。ほかに、明日の日の出などのコーナーを送る。アンカーは住田功一。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年8月10日・朝刊、13版、22ページ、「ラジオ」)

 

 わざわざの紹介記事ですが、テレビの場合なら、毎時の番組表に組み入れられるような文字数で、むしろそれよりも短い内容です。これでは番組全体の紹介にはなっていません。部分的な紹介ですらありません。「明日の日の出」というのは、札幌から那覇までの主要都市の日の出の時刻を並べあげるもので、たった2分間ほどでのものです。しかも、これは365日、毎日放送されているのです。わざわざ「日の出」のコーナーを紹介する必要はありません。番組を知っている人が読んだら、噴飯ものです。

 つまり、この記事を書いた人も、載せようと判断した人も、この番組を聞いたことなどない人でしょう。放送局の発表する番組表のうち、気の向いたごく一部をつまみ上げて、実にいい加減な記事を書いて載せているのです。ラジオ番組の冷遇はここまで進んでいるのです。

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