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2018年8月26日 (日)

言葉の移りゆき(127)

新聞の見出しは丁寧に

 

 新聞は小・中学生向けの国語教材を提供してくれます。新聞の見出しは、本文を読む前に情報を提供するものですが、見出しを読んで、頭が混乱することがあります。

 そこで、問題です。次の2つの見出しの「史上初2度目」と、「51年ぶり勝利お預け」というのは、それぞれどういう意味でしょうか。

 

 大阪桐蔭 春夏連覇 / 史上初2度目

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年8月22日・朝刊、13版、1ページ。見出し)

 

 東大出身・宮台 全力マウンド / 五回途中2失点 51年ぶり勝利お預け

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年8月24日・朝刊、13版、16ページ。見出し)

 

 第1例は、「初」と「2度目」の関係がわかりません。答えとして、〈「史上初」を「2度」も達成した〉、〈「史上初」と「2度目」とを達成した〉、〈「2度目」達成は「史上初」である〉、……、などが考えられます。もちろん理屈の通らない答えもありますが、そもそも見出し自体が、理屈の通らない表現なのです。

 第2例は、「宮台選手」と「51年ぶり」の関係がわかりません。主語が明確でないから、誰が「お預け」を食ったのかが謎です。答えとして、〈入団から「51年ぶり」に初めて「勝利」しようとしたが、それはお預けになった〉、〈前回の勝利から「51年ぶり」に再び「勝利」しようとしたが、それはお預けになった〉、……、などが考えられます。けれども宮台選手は51歳を超えたりはしていません。なんとも不思議な言葉遣いです。

 さて、第1例は、本文に、「史上初となる2度目の春夏連覇を達成した。」とあります。第2例は、本文に「東大出身投手が勝利すれば、これも1967年の井手峻(中日)以来、51年ぶりだった。」とあります。

 第1例は、助詞・助動詞などを省いて「史上初」と「2度目」という体言のような言葉を並べただけの、舌足らずな表現です。

 第2例は、離れた位置にある見出しの言葉、「東大出身」と「51年ぶりお預け」とが関係しているのです。こういう場合に「51年ぶり」と言うのが何とも不思議です。「お預け」を食ったのは、いったい誰なのでしょう。宮台選手でしょうか、それとも東大野球部(もしくは、東大OB選手)でしょうか、それともプロ野球ファンでしょうか。あいまいです。

 独りよがりの見出しは、読む人を混乱させます。もっと丁寧な言葉遣いが求められます。

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