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2018年8月29日 (水)

言葉の移りゆき(130)

「普通車」と対になる言葉

 

 前回の「全車」に触発されて、書いておきたいことがあります。

 鉄道で、「普通車」という言葉があります。この言葉と対になる言葉は、どういう言葉でしょうか。「全車禁煙」は高松・岡山あたりの話題でしたが、「普通車」というのは姫路・神戸あたりの話題です。

 姫路から神戸までを結ぶ山陽電気鉄道は、神戸高速鉄道を経て、阪神電気鉄道の大阪(梅田)まで直通特急を走らせています。阪神の直通特急も、山陽の姫路まで乗り入れています。

 その山陽電鉄は、駅の電光掲示や、駅や車内のアナウンスで「普通車」という言葉を使っています。「この特急は、明石()で、姫路行きの普通車に接続します。」というアナウンスや、「東二見()までは普通車が先に着きます。」という電光掲示などです。普通電車のことを「普通車」と言っているのです。

 一般に言えば、「普通車」の対は「グリーン車」「座席指定車」などだろうと思います。ひとつの編成の中で、普通車と、その他の種類の車両とが分けられるというのが通常の考え方でしょう。ところが山陽電鉄には「グリーン車」などはありませんから、混乱は起こりません。

 また、山陽電鉄では特急電車のことを「特急車」と言っています。「普通車」の対は「特急車」なのです。「普通電車」「特急電車」と言えばよいのにと思いますが、ずっと昔から、「普通車」「特急車」のままです。

 別の見方をすれば、普通列車仕様の車両が「普通車」で、特急列車仕様の車両が「特急車」という区分けも成り立つと思いますが、山陽電鉄は、編成両数の違いはありますが、すべての車両は普通列車にも特急列車にも運用が可能です。設備などの仕様で普通・特急に分ける必要がないのです。

 というわけで、普通列車としてのダイヤで運行する電車が「普通車」です。私は、このような呼び方を他の鉄道で見聞したことがないのですが、類似の例はあるのでしょうか。

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