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2018年9月 9日 (日)

言葉の移りゆき(141)

セミナーやコンサルタントの役割

 

 人は、他人から指導を受けたり、技術を教えられたりすることも大切です。それによって人間性を磨いたり技能を深めたりすることができるからです。

 けれども、セミナーやコンサルタントというものの現状を見ると、疑問に思うこともあります。

 

 7月に都内で開かれた医学部受験セミナーは、真剣なまなざしの高校生や保護者でいっぱいでした。 …(中略)

 適性や意欲を確かめるのに、東京大は今春、主に医学部へ進む理科3類の前期日程試験から11年ぶりに面接を復活。学科の得点にかかわらず、面接の結果次第では不合格にする場合もあるそうです。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年9月1日・朝刊、13版、6ページ、「東洋経済の眼」)

 

 大学合格を目指してセミナーを受けるのでしょうが、合格するということだけが目標になっているとしたら、それはセミナー主催者も参加者も大きな思い違いをしていると言わざるを得ません。医者としての適性がないのに学科試験の成績だけで医学部に合格させるのは困ります。成績よりも人間性です。

 制度が変わると今度は、医学部受験者のための面接セミナーというものが開かれるようになるかもしれません。適性や意欲を確かめるための面接も、合格するための技術のひとつになってしまうのです。「適性や意欲を高めるためのセミナー」などと銘打つことがあっても、その中身は、面接技術の伝授となるでしょう。

 話題は変わりますが、同じ日の新聞の隣のページに、こんな記事がありました。

 

 ここのところ謝罪会見が目白押しだ。 …(中略)

 それに伴い注目を浴びているのが会見での対応の巧拙だ。謝り方次第で世論の反感を買って大炎上することもあれば、事態を沈静化するだけでなく好印象さえ与えてしまうケースもある。かくして、いかにも誠実な謝罪らしく見える姿を演出するべく一挙手一投足を指南するコンサルタントが活躍する。 …(中略)

 プロのアドバイスで組織防衛されたのでは、世間の良識による評価メカニズムが機能しなくなってしまう。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年9月1日・朝刊、13版、7ページ、「経済気象台」)

 

 そんなコンサルタントが存在するとは驚きです。そんなコンサルタントの前職は何なのでしょうか。人々のために働いて後、退職すれば勝手知ったところを利用して、悪知恵を他人に伝えようとするのでしょうか。「世間の良識による評価メカニズム」を揺るがすためにもコンサルタントは存在しているのです。

 どんな仕事でも、他人の役に立っています。大事なことは、自己利益を得ようとするための僅かの人だけに役立つのか、大勢の人たちに役立つのかということです。一部の人だけに役立ち、大勢の人たちを欺くような仕事をしてはいけません。

 国語辞典の「セミナー」や「コンサルタント」の意味解説に、きれい事ばかりを書いておれないような時代になってきました。

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