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2018年9月30日 (日)

言葉の移りゆき(162)

元の肩書きの利用・活用

 

 「ニュース・キャスター」を短く「キャスター」と言うことがありますが、それは、テレビなどで、解説や論評を加えながらニュースを報道する人のことです。それは、連続して番組を担当する人のことなのか、一回だけ出演してもキャスターと言うのかどうかは知りません。

 ところで、ある仕事をしていた人がその職を退いたあとは、元議員、元新聞記者、元会社員などというのが普通で、本人の意思によって無職と書くことも多いと思います。

 さて、次のような例は、どう考えればよいのでしょうか。

 

 豊かな森林資源を使い、まちを再生する-。北海道の小さな町の取り組みが注目されている。 …(中略)… そんなまちづくりのモデルをキャスターの国谷裕子さんと取材した。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年9月23日・朝刊、13版、1ページ、「2030 SDGsで変える」、北郷美由紀)

 

 森林を守り、活用する北海道下川町。キャスターの国谷裕子さんは一の橋バイオビレッジを訪ねた後、車で森に向かった。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年9月23日・朝刊、10版、2ページ、「2030 SDGsで変える」、北郷美由紀)

 

 この日の2ページ目は全面、この特集で埋められていて、その一部は「国谷裕子キャスターの視点」と題する記事になっています。

 国谷さんが今でもキャスターを務めている局があるのかどうかは知りません。けれども、それは放送の世界です。新聞記事にキャスターが存在するはずはありません。新聞では、「一日特派員」というような立場でしょう。

 「キャスター」と書くことを国谷さんが強く希望したのかどうかは知りません。けれども、新聞が「キャスター」という元の肩書きをうまく利用してアピールしていることは疑う余地がありません。活用できるものは何でも活用しようという姿勢のようです。

 

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