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2018年10月15日 (月)

言葉の移りゆき(177)

「出口調査」を独立した見出しに

 

 「出口」とは、中から外へ出るための場所です。「非常用の出口」とか「水道やガスの出口」というような使い方をします。

 その用例に従って、仮に「出口調査」という言葉を使うとすれば、非常用の出口が大丈夫かどうかを調べたり、水道やガスがきちんと供給されているかどうかを調べたりすることを意味すると思います。「出口を調査する」という意味です。

 ところで、選挙が行われると「出口調査」が行われます。開票があまり進んでいなくても、出口調査に基づいて「当選確実」を判断することが行われています。これは「出口で調査する」という意味です。

 たくさんの国語辞典を調べたわけではありませんが、「出口」という項目(見出し)はありますが、「出口調査」という項目(見出し)は無いように思います。「出口」の用例として「出口調査」が挙げられているような状況です。

 そろそろ「出口調査」という項目を設けてもよいように思います。その場合は、選挙の時に使われる言葉だ、という限定が書かれるのでしょうか。それとも、もっと広い意味でも使うと許容されるのでしょうか。

 次のような記事に出会いました。

 

 最近は出口調査として、日本の旅を終え帰国する直前の外国人に空港でインタビュー取材。彼らが日本で買ったものや訪れた場所を深掘りする企画が好評です。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年9月2日・朝刊、13版、18ページ、「撮影5分前」、荻野健太郎)

 

 「出口」から独立して「出口調査」という言葉が一人歩きをして、既に「出口調査」は選挙関連用語から離れて、拡大していく方向にあるのではないでしょうか。そうなれば、国語辞典の項目には何としても必要だと言わなければならない気持ちです。

 もっともテレビの場合は、静かな形での調査ではありません。インタビュー取材というきれいな言葉を使いつつ、空港での現実は、相手の都合に配慮せずに、やたら呼び掛け、カメラを回すことも多いように感じます。もはや「調査」の範疇から離れて、テレビ関係者の好きな言葉、「突撃」そのものになってしまっているかもしれません。

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