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2018年10月18日 (木)

言葉の移りゆき(180)

組み込まれ、入り込まれる生活

 

 私たちは、テレビのコマーシャルを見て、知らず知らずのうちに洗脳されています。それがスポンサーにとっては、効果があったという喜びに通じることなのでしょう。コマーシャルだけでなく番組自体の内容にも同じような傾向が見られます。こんな文章を読みました。

 

 最近テレビ番組で、健康長寿のための食べ物が紹介されたり、運動の仕方などの指南も行われていて、視聴者も無関心ではいられなくなっています。 (中略)

 私のような健康オタクは、その都度メモを取って実行するので、お勧めの食品もどんどん増えて、これらを全部摂取すると、お腹が健康食品でパンパンになって病気になってしまいそう。 …(中略)

 ときどき呆然と立ちつくします。これらが朝食に入り込んできたのは、明らかにテレビ番組のせいだと。アレも必要、コレも大事!

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年7月14日・朝刊、be7ページ、「作家の口福」、高樹のぶ子)

 

 「オールジャパン」ほどの強引さはなくとも、国民のひとり、現代人のひとりとして、こういうことに気を付けた生活をしたらどうですかという構想の中に組み込まれてしまっている感じがします。もちろん、そんな勧めは無視してもよいのですが、何となく気になるのが人の常というものでしょう。それに従わなければ現代人失格かもしれないという不安かもしれません。不安は、その勧めを実行しない罪悪感につながってゆくかもしれません。

 話が変わりますが、「罪悪感」を除く食品というものがあると知りました。

 

 カロリー制限や糖質制限。むやみにカロリーを抑えようとして、食事をとらなくなることで、摂食障害に陥る事例もあります。楽しいはずの食事に感じる「罪悪感(ギルト)」を取り除くために、どんな方法があるのでしょうか。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年8月25日・朝刊、be9ページ、「続・元気のひけつ」、田中誠士)

 

 この記事は、そんな罪悪感を取り除くための食品などの情報が書かれているのですが、そこに書かれている勧めに従おうとする気持ちを持ってしまうことも、人の常かもしれません。

 「幸福」「健康」「長寿」「お勧め」……など、きれいな言葉に惑わされず、「不幸」「病気」「短命」「罪悪感」……など、マイナスイメージの言葉に脅かされないようにしようという心の持ち方が必要な時代です。

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