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2018年10月27日 (土)

言葉の移りゆき(189)

「人たらし」とは、どういうことか

 

 「29歳西郷 人たらしの面目躍如」という見出しの記事がありました。もう1本の見出しには「福井藩士へ心遣いの手紙 22日から公開」とあります。

 「人たらし」とはどういう意味なのでしょうか。「女たらし」などという言葉がありますから、よい印象ではありません。「心遣い」という言葉が使われていますから、頭が混乱します。

 記事には、次のような表現があります。

 

 明治維新の立役者の1人とされる西郷隆盛(1828~77)が福井藩士に宛てた書簡の原本が22日から、福井県立歴史博物館(福井市)で初公開される。 …(中略)

 書簡では、西郷は村田と面会したときに打ち解けて話ができたことを喜んだうえで、「却而卒爾之至与奉存候(かえって卒爾の至りです)」と記し、失言があったかもしれないことをわびるなど、西郷のこまやかな心遣いがうかがえる。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年9月20日・朝刊、13版、29ページ、山田健悟)

 

 記事にはもう一カ所「人への配慮や気遣いという西郷らしい一面がうかがえる」という言葉があります。「人たらし」は見出しだけで使われた言葉です。

 「人たらし」という言葉は小型の国語辞典には載っていませんが、『広辞苑・第4版』には「人誑し」が載っています。

 

 人をだますこと。また、その人。

 

 また、『日本国語大辞典』にも「人誑」が載っていて、説明はまったく同じです。

 

 人をだますこと。また、その人。

 

 記事での用法は「人誑し」でないことは確かですが、「人たらし」=「こまやかな心遣い(をする人)」という説明が見当たりません。最近、そのような使い方がされているのかどうか、私だけが知らないことなのかもしれませんが、腑に落ちないままです。

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