« 言葉の移りゆき(191) | トップページ | 言葉の移りゆき(193) »

2018年10月30日 (火)

言葉の移りゆき(192)

「裏メニュー」と「裏界線」

 

 テレビに「裏番組」という言葉があります。ほんとうはどちらが表か裏か決められないのですが、話題にしている番組以外はすべて「裏番組」と決めつけて使うようです。

 食べ物屋に「裏メニュー」というのがあって、これは正式のメニューに載っていないようなものを指すようです。お馴染みさん限定という気配がします。

 けれども、隠れないで堂々としている裏メニューもあるようです。

 

 リーグ3連覇に王手をかけた広島カープ。大阪市福島区の広島お好み焼き店「お多福」が、ファンの願いを込めた「裏メニュー」を売り出した。

 名前はずばり、「カープ黄金期広島お好み焼き」。その名前通り、ソースの上に、10センチ四方の金箔4枚があしらわれているのがポイントだ。

 値段は3600円(税別)だが、金箔は「コストが高い」と店主。

 (朝日新聞・大阪本社発行、2018年9月23日・朝刊、13版、31ページ、「青鉛筆」)

 

 名前があって、値段も公表されて、これでいったい、何が「裏」なのかと思います。けれども、こんなお好み焼きがあるなんてと、客の「裏をかく」商法なのかもしれません。

 

 さて、次は、ほとんどの人に知られていないと思われる「裏」の話題です。

 

 建物と建物の間に造られた飯田市街地特有の狭い小路「裏界線」を活用して街を活性化しようと、明治大(東京)の学生たちが21日、裏界線にレッドカーペットを敷いて露店を出し、1日だけの商店街を開設した。 …(中略)

 裏界線は1947(昭和22)年に市街地を焼き尽くした「飯田大火」後に発達した小路。幅2メートルほどで避難路であると同時に延焼を防ぐ防火帯でもある。都市設計を学ぶ同大の「建築・アーバンデザイン研究室」のゼミ生は昨年4月、研修旅行で飯田を訪れた際に裏界線を知り、車が通れない狭さと古い土蔵の壁などが醸し出す風情などに着目。

 (信濃毎日新聞、20181022日・朝刊、23ページ)

 

 「裏界線」には〈りかいせん〉というルビが振られており、飯田大火後の事情も説明されていますから、長野県内でもこの言葉を知っている人は少ないのかもしれません。

 「裏(表通りでないところ)」に、「界(さかい。しきり)」のために設けた、「線(細く長いもの)」であるのでしょう。事務的な言葉で、お役所の命名であるような気がします。けれども今では、街の雰囲気を盛り上げるための、格好の場所になっているようです。

 

|

« 言葉の移りゆき(191) | トップページ | 言葉の移りゆき(193) »