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2018年11月 4日 (日)

言葉の移りゆき(197)

「封鎖」と「閉鎖」

 

 大阪の御堂筋を全面歩道にすることを目指して、その側道の一部を通行止めにする実証実験が始まりました。それを伝える新聞記事です。

 

 大阪市中央部を南北に貫く御堂筋は長さ約4・2キロ、幅約44メートルの国道で、大阪市が管理する。実験対象は道頓堀川の南側から千日前通までの約200メートルで、東側の側道を封鎖する。

 (朝日新聞・大阪本社発行、201810月9日・夕刊、3版、8ページ、半田尚子)

 

 実験区間には御堂筋本線(4車線)とは別に、両側に1車線ずつ側道があり、このうち東側の側道(幅約5メートル)を閉鎖し、歩道にする。

 (読売新聞・大阪本社発行、201810月9日・夕刊、3版、12ページ)

 

 同じことを報ずる記事ですが、使う言葉が違って、「封鎖」と「閉鎖」になっています。

 「閉鎖」は、出入り口などを閉ざしたり、施設などを閉じたりして、その機能を停止させることです。「封鎖」もほぼ同様の意味だと思いますが、受ける印象は同じではないように思います。

 「封鎖」という言葉には、かつての学園紛争の時代にあった「大学封鎖」とか、沖縄の辺野古の埋め立て工事を行わせないようにする「道路封鎖」とか、強い力が働いているような印象が伴います。非常事態への対応と言ってよいかもしれません。

 それに対して「閉鎖」は、インフルエンザによる「学級閉鎖」とか、経営不振による「工場閉鎖」とか、やむをえない事情が伴った、自然な成り行きのようにも感じます。

 逆の言葉遣いをしてみましょう。「大学閉鎖」は学生の減少などによる結果かもしれませんし、「工場封鎖」は紛争による措置かもしれないと感じてしまいます。

 朝日新聞の場合は、見出しも「御堂筋 側道200メートル封鎖 / 歩道化へ実証実験」となっていて、力ずくの「封鎖」の印象が強いのですが、添えられた写真には看板が写っていて、そこには「東側側道を閉鎖し、自転車歩行者道を拡幅しています」という文字が見えます。この「封鎖」は記者が選んだ言葉であるのかもしれません。

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