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2018年11月10日 (土)

言葉の移りゆき(203)

どのような言葉に落ち着くか

 

 大規模な災害によって街頭の信号機が停電して混乱するという事態が起きました。そのことに関連したニュースで、非常用電源付きの信号機の整備率が低いことについて、こんな談話がありました。

 

 災害時の交通計画を研究している東北大災害科学国際研究所の奥村誠教授は「費用がかかるため、重点的に配備を進めていくべきだ。信号機をあまり必要としないロータリー型の環状交差点を整備することも有効だ」と話している。

 (毎日新聞・大阪本社発行、20181012日・夕刊、3版、7ページ)

 

 談話の後半では、外国で整備が進んでいる〈信号機を必要としないロータリー型の環状交差点〉のことを述べているのですが、ちょっと長い言葉になっています。これを短くすれば、〈ロータリー型環状交差点〉となったり〈環状交差点〉となったりするのでしょうか。今後、どのような言葉に定着していくのか見守りたいと思います。

 そこで気になるのは、まったく新しい言葉が導入されることです。それは、言うまでもなく、外国語をそのまま取り入れるという愚直なやり方です。外国語の、無批判な取り込みです。〈ロータリー型交差点〉や〈環状交差点〉で意味はじゅうぶん理解できるのですから、第三の言葉を使わないでほしいと思います。外来語の氾濫を阻止するためには、ひとつひとつの言葉ごとに「阻止」の姿勢を持つことだと思います。

 別の記事を引用します。

 

 長野県軽井沢町、飯田市など全国16市町で構成するラウンドアバウト普及促進協議会は2526日、同町でラウンドアバウト(環状交差点)サミットを開催する。 …(中略)… 町内の六本辻ラウンドアバウトの視察を予定し、600人弱が参加する見通しだ。

 ラウンドアバウトは2014年9月の道路交通法改正以降、各地で運用が始まった。

 (日本経済新聞・東京本社発行、20181023日・朝刊、「長野」版、35ページ)

 

 法律で既に「ラウンドアバウト」という言葉を使っているのかもしれません。けれども、法律は厳密な規定を求められますから、この言葉が必要であるとしても、日常語の中に侵入させなくてもよいはずです。

 例えば、海外旅行案内でも「ロータリー」という言葉でじゅうぶん、用が足りています。

 

 都市部でも田舎の道でも、信号ではなくロータリーが多く設置されている。交通量の多いロータリーは手前に前方優先の標識が出ているので、一時停止して安全を確認してから入る。

 (ブルーガイド海外版編集部、『わがまま歩き26 フランス』、実業之日本社、2007年8月10日発行、419ページ)

 

 〈ロータリー型交差点〉や〈環状交差点〉や〈ロータリー〉など、既に日本語の中に定着した言葉で表現できるのなら、新しい言葉を導入する必要はありません。官庁や報道機関が率先して外来語の氾濫に加担することだけはやめてほしいと思います。

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