« 言葉の移りゆき(225) | トップページ | 言葉の移りゆき(227) »

2018年12月 3日 (月)

言葉の移りゆき(226)

「ネタバレ」と「ネタバラシ」

 

 「ネタ」というのは「たね()」を逆さにした言葉です。この言葉の意味は、『三省堂国語辞典・第5版』によれば、「①たね。材料。②証拠。」とあります。簡単な言葉の置き換えですませています。用例はただ一つ、「- は上がってるんだ。」とあります。

 「ネタバレ」という言葉を聞くことが多くなってきました。「バレ」というのは「ばれる」という動詞の連用形で、それが名詞として使われているのでしょう。同じ国語辞典で「ばれる」を見ると、「①あらわれる。露見する。②〔釣りで〕一度はりにかかったさかながにげる。」とあります。ここでも用例は一つ、「秘密が -」とあります。

 この二つを結び付けると、「ネタバレ」とは、たねや材料が露見する(あらわれる)、証拠があらわれる、という意味になりそうです。

 「ネタバレ」の一例として、新聞記事を引用します。

 

 エンターテインメントの世界で、「ネタバレ禁止」の仕掛けが思わぬヒットにつながっている。日常的に何でも書けるSNSの時代。書きたいのに詳しく書けない、という受けての歯がゆさが、逆に熱気を帯びて拡散されるからだろう。 …(中略)

 ネタバレを気にして内容にはあまり触れず、とにかくすごい、すごいと興奮気味に書く。その異様さが気になり劇場に行った私も、すごい、すごいと薦めて回ることになり、それが妙に楽しかった。

 (朝日新聞・大阪本社発行、20181128日・夕刊、3版、8ページ、「葦 夕べに考える」、山崎聡)

 

 「ネタバレ」というのは、上記のような、たねや材料が露見する(あらわれる)、証拠があらわれる、という意味ではなさそうです。

 「ばれる」は自動詞で、その他動詞は「ばらす」と考えるのがよいでしょう。「ネタバレ」というのは、小説、演劇、映画、テレビなどで、進行上の仕掛け、筋書き、結末などが暴露されてしまうことのようです。だから「ネタバレ禁止」などという措置が取られて、それがかえって作品のヒットにつながっているというのでしょう。

 自動詞・他動詞ということから言えば、自然と露呈してしまう「ネタバレ」もあるでしょうが、意図的に行う場合は「ネタバラシ」と言うべきだと思います。

 国語辞典の「ネタ」や「ばれる」の説明が簡単なのは仕方ないとして、しかし、「ネタバレ」もしくは「ネタバラシ」という見出し語も必要な段階に来ているように思います。

|

« 言葉の移りゆき(225) | トップページ | 言葉の移りゆき(227) »