« 言葉の移りゆき(247) | トップページ | 言葉の移りゆき(249) »

2018年12月25日 (火)

言葉の移りゆき(248)

「つなげる」という言葉

 

 「つなげる」という言葉が気になっています。繋げる、です。変哲のない言葉といえば、それまでです。

 『三省堂国語辞典・第5版』の「つなげる」は、実に素っ気ない説明です。引用します。

 

 つなぐ。

 

 たった一語、置き換えの言葉しか載っていません。他の項目に比べて、目立った扱いのようにも見えます。ちょっとひどいではないか、と言いたくもなります。

 さて、私の日常生活では、「つなぐ」を使っても「つなげる」を使うことはほとんどありません。「つなげる」は、私にとっては可能動詞なのです。関西の言葉遣いの傾向なのか、私個人の傾向なのか、判断は難しいと思います。

 『明鏡国語辞典』の「つなげる」は詳しい説明になっています。引用します。

 

 一〔他下一〕 ①結びつけて一続きにする。つなぐ。「ひもを -・げて長くする。」

 ②つながるようにする。特に、何かと何かがあるかかわりをもってつながるようにする。「最後のチャンスを大量得点に -・げよう。」

 二〔自他下一〕 〔「繋ぐ」の可能形〕つなぐことができる。「ビデオの配線なら一人でも -」

 

 この説明には納得します。私の使わない用例「一」と、私の使う可能動詞「二」とが、明確に区別されているのです。

 さて、新聞記事を引用します。

 

 2020年にアラブ首長国連邦(UAE)のドバイで開催される国際博覧会(万博)に向け、日本政府の代表団が25日、参加国の会議のため訪れたドバイで記者会見を開いた。25年に大阪での万博開催が決まったことを受け、中村富安代表は「大阪にもつなげることができる工夫を考えていく」と述べた。

 (朝日新聞・大阪本社発行、20181126日・夕刊、3版、7ページ、ドバイ=高野裕介)

 

 「つなげることができる」という言い方は、『明鏡国語辞典』の「一」の使い方に「できる」という言葉を続けた表現です。「二」の使い方では、「つなげる」の一語で同じ意味を表せるのです。この発言者はどこの出身者なのかは知りませんが、関西なら「大阪にもつなげる工夫」といえばよいものを、「大阪にもつなげることができる工夫」と言っているようです。

 この記事の見出しは、「政府代表団『大阪につなげる』 ドバイ万博」となっています。見出しは可能動詞の感覚で付けられたと見ることもできるでしょう。

|

« 言葉の移りゆき(247) | トップページ | 言葉の移りゆき(249) »