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2018年12月27日 (木)

言葉の移りゆき(250)

擬声語・擬態語のもつ語感

 

 擬声語や擬態語について、小型の国語辞典は代表的な言葉を載せていますが、その数は多くはありません。小型辞典だけではありません。大型の国語辞典でも扱いは冷淡なように見えます。載せ始めると際限なく広がってゆくでしょうから、制限しようとする意識があるように感じられます。それは仕方のないことです。

 とは言え、時には、なぜその言葉が、そのような意味で使われるのか、確かめたくなる場合もあります。

 一例を述べます。「きんきん」という言葉です。

 

 シャープは11月、飲み物用の保冷バッグを発売した。ペットボトルのジュースや炭酸飲料を入れておくと、シャーベット状になる。ビールや日本酒ならキンキンに冷やせる。液晶の研究過程で生まれた蓄冷技術を応用した。

 (朝日新聞・大阪本社発行、20181130日・朝刊、13版、8ページ、米谷陽一)

 

 ここに使われている「キンキン」というのは、どういう様子を表す言葉でしょうか。

 「きんきん」を見出しにしている国語辞典から引用します。

 

 『三省堂国語辞典・第5版』  ①音や声が高くひびくようす。「- した歌声」②頭や耳がするどくいたむようす。「頭が  いたむ」

 

 『広辞苑・第4版』  金属的で耳に鋭くひびく高い音声。「女の  した声」

 

 この2つの辞典には、冷たいという意識に結びつく説明は載っていません。

 そこで、擬声語や擬態語を専門にしている辞典を見てみます。

 

 ①金属的で、鋭く、耳にひびくようなかん高い音や声。

 ②かたく張りつめたさま。そのような感覚を生じるさま。

 ③鋭く張りつめたように光るさま。

 (小野正弘()『日本語オノマトペ辞典』、小学館、20071031日発行、80ページ)

 

 この辞典には用例は豊富ですが、ここでは用例を省略して引用しました。②には、「キンキンに冷えたビール」という用例が載っています。

 

 ここからは、私の感覚について述べます。『三省堂国語辞典』の〈②頭や耳がするどくいたむようす〉と、『日本語オノマトペ辞典』の〈②かたく張りつめたさま。そのような感覚を生じるさま〉とに関係があります。

 例えば、かき氷を頬張ったりしますと、その冷たさが一瞬のうちに頭の芯まで届きます。頭の中に痛みが生じるように感じます。耳も痛く感じるかもしれません。ジュースなどの液体では、よほど冷えていないと、頭の芯まで痛むような感覚にはなりません。

 まさに〈頭や耳がするどくいたむようす〉なのですが、『三省堂国語辞典』が冷たさによってそれが生じる用例を挙げていないのが残念です。『日本語オノマトペ辞典』は「ビール」の用例を挙げていますが〈かたく張りつめたさま。そのような感覚を生じるさま〉という説明には物足りなさを感じます。

 〈頭や耳がするどくいたむようす〉という説明に、〈冷たさなどによって…〉という言葉を加え、その上で、「ビールをキンキンに冷やす」「かき氷を食べたら(頭が)キンキンする」という例文を挙げてもらえたら嬉しいと思います。「キンキン」は形容動詞であり、サ行変格活用動詞でもあるのです。

 もっとも、この「キンキン」という言葉の使い方には、地域差による変化があるのかどうか、私にはわかりません。

 

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