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2018年12月29日 (土)

言葉の移りゆき(252)

地元の言葉と全国向けの言葉

 

 全国共通の言葉であっても、その使い方しだいで地方色が伴う言葉はいろいろあります。「お好み焼き」という言葉は、広島では、いわゆる広島焼きを指すのであり、それを「広島焼き」と称することは好まれていないようです。

 こんな文章がありました。

 

 帰りにおいしいお好み焼きを堪能できました。広島ではあの薄いクレープ状の一枚から始まるお好み焼きこそがノーマルであり、広島風や広島焼き、とは呼ばないんですよね。

 ところがです。お店のメニューにわざわざ「カキ乗せ・広島焼き」などと名前が書いてありました。おそらく「こう書けば観光客にもわかりやすかろう」という、お店の方のサービスなのでしょう。「広島焼き」は、あえてのやさしい固有名詞というわけです。

 (朝日新聞・大阪本社発行、20181130日・夕刊、3版、2ページ、「まあいいさ」、清水ミチコ)

 

 地元で「お好み焼き」と言っている食べ物を「広島焼き」と書くのは、全国(観光客)向けの言葉であるというのです。

 同じような粉モンにたこ焼きがあります。たこ焼きには2種類があって、明石発祥のものと、大阪などで食べられているものとは別物です。地元の明石では「玉子焼き」と言っています。

 2種類のたこ焼きを混同してはいけませんから、出汁につけて味わう、明石発祥のものを「明石焼き」という看板で売っている店がありますが、それは全国向けの言葉です。地元の店には「玉子焼き」と書いてあります。B-1グランプリなどでも「明石焼き」と称するのですが、それも全国向けの言葉です。

 つまり、広島焼きという言葉も明石焼きという言葉も似たような状況にあるのですが、ただひとつ異なることがあります。「お好み焼き」は広島だけでなく、大阪をはじめ各地で使われている言葉であり、「玉子焼き」は類似する、紛らわしい言葉がないということです。弁当などで好まれるタマゴヤキは「卵焼き」と書くのです。

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